赤本に加えて「銀本」も入手して! 中学受験追い込みシーズンに“過去問読書”で国語力を上げる
◆「国語力」を高めるための効果的な勉強法って?
「国語力」とは、いったい何を指す力なのでしょう? 語彙(ごい)力、それとも読解力、記述力、またはテストの得点力でしょうか? 【画像】こんなにも!? 1日の平均勉強時間がすごいことに…… おそらく漠然とこれらすべての総合力を「国語力」と呼んでいるのでしょう。 中学受験の国語の課題文は大別すると物語文、論説文、随筆文の3つに分けられます。中学受験塾講師として35年以上従事し、1000人超の受験生送り出してきた筆者が、それぞれのおすすめの作品をご紹介しながら、読解のポイントと得点力を伸ばす勉強法についてアドバイスします。
◆物語文:日能研生にはおなじみ「銀本」を使って過去問を読書する
物語文の読解は、登場人物が他者との関わりの中でどのように考えて、どのように反応するか、それについてどう思うのかを作問者が問い掛けています。 そのため課題文の主人公は、小学生から高校生がほとんどであり、読者=生徒でも想像可能なシチュエーションが背景として描かれています。入試問題として選ばれる課題文には、反社会的・非道徳的な世界を描いた作品は選ばれません。 小学校の課題図書では、学齢に応じた良質な作品を読むことにより、読者の世界観を広げて成長を促すことができるとして、「講談社青い鳥文庫」や「岩波少年文庫」などが推奨されています。 では、中学受験ど真ん中の生徒は、何を読めばよいのでしょうか? ずばり、中学入試問題として扱われた物語文を読むのがおすすめです。 「受験が近いから、そんな時間なくて無理!」と思った読者にこっそり裏技をお教えしましょう。日能研の銀本に取り上げられている国語の課題文を読書するのです。「解く」のではありません。「読む」のです。 「銀本」は日能研で使われている教材で、書店では『中学入試試験問題集』(みくに出版)として販売されています。算数編、国語編、社会編、理科編と科目別に分冊されていて、国語編は「女子・共学校 国語編」と「男子・共学校 国語編」の2種類があります。 昔は1冊にまとまっていたのですが、今は女子生徒には「女子・共学校編」が、男子生徒には「男子・共学校編」が用意されています。いずれも厚さが4cm以上というボリュームです。 新たに銀本を購入される場合は、4科目の中で唯一、女子平均点が男子平均点を上回る科目は国語ですから、「女子・共学校 国語編」の最新版(2025年度受験用)を読むのがおすすめです。共学校、女子校のそれぞれについて、あいうえお順に並んでいるので、校名を聞いたことがある難関校から読み進めるとよいでしょう。 過去に、麻布中と海城中(第1回入試)、開成高校の2022年の国語入試問題で『氷柱の声』(くどうれいん著)の同じ場面が出題されたことがあります。つまり、課題として取り上げられやすい、物語文の中でも印象的な場面だけに注目して読解力を上げるという方法です。カンフル剤としては有効なのでお試しあれ。