<箱根駅伝>兄弟競演に親子挑戦……絆というドラマ
箱根駅伝で最も注目すべき選手は、東洋大の服部兄弟だ。ふたりには兄弟ならではの絆があり、夢もある。兄・勇馬は30キロの学生記録保持者(1時間28分52秒の日本歴代3位タイ)で、前回は花の2区で区間賞。昨季から東京五輪の「メダル」を目指すべく、マラソン練習を開始している。1学年下の弟・弾馬は2年時の昨季は伸び悩んだが、今季はエースに成長した。日本インカレ5000mでケニア人留学生3人をラスト勝負で下して優勝。全日本大学駅伝はエース区間の2区で歴代3位の好タイムを刻んでいる。 「昨季までは、自分が何をやりたいのか、まったく定まっていなかったんです。兄はマラソンを目指していますけど、僕は目の前にある目標しか見えていませんでした。今季に入って『自分はトラックで勝負するんだ』という気持ちが強くなって、そこから変わりましたね。学生に負けているようではオリンピックに行けません。何区になるか分かりませんが、区間賞は絶対に獲らないといけないと思っています」と弾馬が言えば、勇馬も「箱根が終わって燃え尽きちゃう選手がいますけど、僕はマラソンで、弾馬はトラックで勝負するという気持ちをずっと抱いてきました。そういう考え方を教えてくれた監督に対して、最後の箱根で恩返ししたい」と話している。 勇馬は3年連続2区にエントリーされた。弾馬は補欠登録だが、酒井俊幸監督は「1区か3区に起用します」と明言。初優勝を飾った全日本大学駅伝に続いて兄弟リレーが実現する見込みだ。世界を視野に入れて箱根に臨む服部兄弟でどれだけリードを奪うことができるのか。鉄紺軍団の命運はWエースが握っている。 兄弟だけでなく、高校時代の縁も固い絆を生んでいる。チームエントリーに登録(1チーム16名)された選手を調べてみると、西脇工(兵庫)が3年連続トップで11名。2位は豊川工(愛知)と伊賀白鳳(三重)で9名だ。同一高校から複数の選手が出場すると、そこに新たなストーリーが誕生する。