【有馬記念 みどころ】誰もが思いを馳せる 2024年の集大成
第69回有馬記念みどころ
あなたにとって、2024年はどんな年だっただろうか? 喜びもあれば、悲しみもあり、楽しいことがあれば辛いことも… 【予想配信】中央競馬の1年を締めくくるグランプリ「有馬記念」をガチ予想!キャプテン渡辺の自腹で目指せ100万円! 多くの人は1年を振り返り、間もなくやってくる次の年へと思いを馳せる――それは競走馬たちにとっても同じなのかもしれない。 そんな1年の締めくくりである有馬記念。 今年最大の注目を集めていた天性のスターホース・ドウデュースがレース2日前に跛行のため出走を取り消すというまさかのアクシデントが。 この秋は天皇賞(秋)、ジャパンCをともに勝利し、この有馬記念も制して史上5頭目の有馬記念連覇、そして20年ぶりとなる秋古馬三冠を果たすつもりだったが… 冬のグランプリの女神は新たな王の誕生を求めたのかもしれない。 絶対王者が突如として姿を消した今年のグランプリ。 主役を担うのはダービー馬・ダノンデサイル、そして菊花賞馬・アーバンシックの3歳2騎だろうか。 この2頭が初めて相まみえたのは年明け早々の京成杯。この時は先団に付けていたダノンデサイルが直線で猛然と伸びて快勝。 アーバンシックは上がり3ハロン33秒9の脚を使って猛追してくるも、3/4馬身届かずの2着。素質馬2頭がそのスケールを見せつけるかのような走りを披露し、一躍クラシック候補に名乗り出た。 ところが皐月賞、ダノンデサイルはスタート直前に右前肢に跛行を発症して無念の競走除外。 ジャスティンミラノが栄冠をつかみ、アーバンシックが見せ場たっぷりの走りを見せるのをただ眺めるしかなかった。 そしてダービーでダノンデサイルがリベンジを果たす。レース前は9番人気という低評価に甘んじたが、先団を見ながら好位に付けて流れに乗ると、直線では内ラチを突いてジャスティンミラノを捕らえて快勝。 皐月賞での決断を無駄にはしないとばかりに世代の王に君臨してみせた。 迎えた秋、今度はアーバンシックが目を覚ます。 秋緒戦として挑んだセントライト記念では、直線で上がり3ハロン34秒0というメンバー最速の脚を繰り出し、先に抜け出した皐月賞2着馬コスモキュランダを捕らえて完勝。 念願の重賞初制覇を果たすと、ダノンデサイルと3度目の対決となった菊花賞では勝負所から早めのスパートを打ち、直線で突き抜けて勝利。最後の一冠をもぎ取ってみせた。 年明けの京成杯から始まったダノンデサイルとアーバンシック、2頭の戦いの集大成となるのがこの有馬記念。 大一番で新たな王者としてその実力を誇示することができるだろうか。 有馬記念は実力馬の復活が起こる舞台でもある。昨年のドウデュースはもちろん、かつてはアイドルホース・オグリキャップが超満員のファンの前で華麗に復活してみせた。 そうした夢のグランプリレースだからこそ、スターズオンアースをもう一度信じてみたい。 まるで星に導かれるように直線で伸びてきて勝利した桜花賞、そして一族がこよなく愛したオークスを危なげなく制して二冠牝馬となった2年前の春。 秋華賞こそ3着に敗れてトリプルティアラこそ果たせなかったが、それ以降も大阪杯2着、ヴィクトリアマイル3着、ジャパンC3着、そして昨年の有馬記念でも不利な大外枠からのレースとなってもめげずに伸びてきて2着に入ってみせた。 だが、そんなスターズオンアースは5歳になった今年、年明け緒戦として選んだドバイシーマクラシックでは自己ワーストとなる8着に大敗。 そこから立て直して挑んだジャパンCでは桜花賞以来となる川田将雅とのコンビを組んだが、先行策を取るもあっさりと失速して7着。かつての強烈な末脚を見せることはなかった。 もう終わったのか、それとも――その答えはこのレースにあるはず。 人気があってもなくてもいつだって懸命に伸びてきたスターズオンアースだからこそ、冬のグランプリの女神が微笑むかもしれない。 そしてスターズオンアースの隣枠に入るレガレイラも、虎視眈々と復活の時を待っている。 昨年暮れ、牡馬とともに走ったホープフルSでは先に抜け出したシンエンペラーを捕まえて勝利。その鋭い末脚には輝かしい未来が待っているはずだった。 ところが今年の春、3歳になったレガレイラに待ち受けていたのは苦難の道だった。 牝馬ながらに挑戦した皐月賞では1番人気に支持されるも、見せ場を作ることすらできずに6着に終わると、続くダービーではクリストフ・ルメールが戻ってきたが、ダノンデサイルの前の5着に敗れた。 敗れたとはいえ、春の2戦はいずれも上がり3ハロンは最速。それだけに秋の巻き返しがあるかと思われたが、復帰緒戦のローズSは出遅れが響いて5着。 そして秋華賞をパスしてまで選んだエリザベス女王杯では直線の不利に泣いてまたも5着。気が付けばあのホープフルSから1年、勝ち星から遠ざかることになった。 そうして迎えた1年ぶりの中山でのレース。相手が強いのは百も承知。そして今回は戸崎圭太との初コンビ。 未知の要素が多いとはいえ、そのポテンシャルの高さはホープフルS出の走りを見れば明らか。混戦模様の様相を呈しているからこそ、若きプリンセスの激走があってもおかしくない。 新たな王に君臨しようとする若い力、復活を期す元女王たち、そして混戦を切り裂きビッグタイトルを掴みに行く者―― 冬の中山で迎える2024年の日本競馬の集大成はどんなレースとなるだろうか。 ■文/福嶌弘