采配的中で初の連勝…BIGBOSSがピンチに自らマウンドへ向かった理由とは?
一気にホームを狙った近藤は憤死したものの、幸先よく奪った先制点を、試合後にヒーローインタビューでお立ち台に立った松本はこう振り返っている。 「4番ということで、チャンスで回ってくる機会が多いと思っていたので準備はできていました。とにかくヒットを打ちたい、と思って打席に立ちました」 先頭打者だった4回には、もうひとつの武器でチャンスを広げた。 右前打で出塁するも、5番・今川優馬(25)が送りバントのサインが出た初球を失敗してしまう。しかし、カウント2-2の5球目で松本は二盗を成功させる。今川のショートゴロの間に素早いスタートから三塁へ進み、ヌニエスの左前打で楽々生還した。 本拠地・札幌ドームでの開幕戦だった3月29日の1回戦で5回を無失点に封じられ、初登板初白星を献上している西武のルーキー左腕、佐藤隼輔(22、筑波大)をシュアな打撃と足で攻略した松本は、さらにこう続けた。 「いい感じで打席に入れているので、(個人的には)継続していけたらと思います。厳しい試合が続いているので、勝つために、結果を残すために全員で一生懸命やっていきたい」 四球で出塁した6回にも二盗を成功させ、8回には中前打を放って今シーズン2度目の猛打賞を達成した。一気に.419まではね上がった打率も、キャリアハイをすでに更新した7個の盗塁数も、両リーグを通じてトップを独走している。 帝京高から2011年のドラフト2位で入団して11年目。なかなか定位置をつかみ切れなかった日々が嘘のように、サプライズと言っていい開幕4番を託された今シーズンは“走れる4番”としての存在感をぐんぐん増している。 まさに秘蔵っ子と言っていい松本の台頭。BIGBOSSも前出のインスタグラムで、加藤の安定感を称賛するとともに、松本に対して絵文字入りでこう言及している。 「松本君 少し怖いくらいだけど 素晴らしい」 延長10回の末に3-2で楽天にサヨナラ勝ちした10日に続く白星で、今シーズンで初めての、すなわちBIGBOSS体制下で初めてとなる連勝をマークした。もっとも新生・日本ハムにとっての“初ものづくし”は連勝だけにとどまらない。 対戦相手を零封するのも、カード頭を取るのも、そしてビジターで勝つのも初めてであり、個人に目を向ければ加藤は3試合目の先発で初勝利をゲット。ポテンシャルの高さにBIGBOSSが大きな期待を寄せる北山もプロ初セーブをあげた。 言うまでもなくすべてが通過点であり、長丁場のシーズンを通じてさらなる高みを目指していく上で一喜一憂していられない。快勝の余韻を自信と勢いに変えていくために。13日の西武との5回戦では、札幌ドームで3月31日に行われた西武との3回戦でBIGBOSSに初勝利をプレゼントした右腕、立野和明(24)が先発のマウンドに立つ。 (文責・藤江直人/スポーツライター)