「高齢者の逆走運転」が起こるメカニズム。“衰えに無自覚”であることの危険
逆走や事故を防ぐ効果的な対策とは?
それではどんな対策が効果的なのか? 「海外では限定免許という交通安全の流れがあります。これは『AT限定』と同じ要領で『日中限定(夜間運転禁止)』『一般道限定(高速道路禁止)』『自宅から半径○キロメートル以内』など、高齢者の事故が起こりやすい箇所や時間帯の運転を制限する免許です。 日本でのこういった限定免許の導入の目途はまったくたっていませんが、こういった制限運転を自主的に行うことは、逆走のみならず高齢者の事故を防ぐことに非常に有用です。 『夜や雨天の運転はしない』『高速道路に乗らない』『体調の悪い日は運転をしない』『朝の通学時間は運転しない』などのマイルールを作って、自分の運転能力にあった運転習慣を継続する。こういった制限運転を高齢ドライバーの方やその家族の方には推奨しています」
自分自身の運動能力を把握することが大切
運転免許の有無は、とくに車社会である地方の高齢者にとっては死活問題だ。 闇雲に高齢者の自動車運転を危険視するのではなく、高齢ドライバー自身が、自己の運転能力を客観的に把握し、それに合わせた無理のない運転習慣を実践し、運転寿命を伸ばしやすい社会を構築していくのが、逆走防止、ひいては高齢ドライバーの事故削減につながる近道なのではないだろうか。 NPO法人 高齢者安全運転支援研究会 2012年発足。高齢ドライバーの運転に対する考え方、身体能力の変化、認知機能の衰えなどが安全な運転にどの様に影響するかを、実地運転の調査から検証。高齢ドライバーに向けた安全運転の啓蒙や認知機能維持の対策などを通じて、高齢者の安全な運転と高齢運転者の活性化を目指した活動を行っている。研究会の監修した書籍に『長く乗り続けるためのクルマ運転テクニック図鑑』(大泉書店)、『図解「ペダルの踏み間違い」はこれで防ぐ』(講談社)などがある。 <構成/日刊SPA!編集部>
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