【まとめ】絶対感動!ヒューマンドラマ映画37本!
誰もが経験する親族の看取りに胸が詰まる『フェアウェル』
主人公のビリーは、両親とNYに暮らす中国系アメリカ人。中国の長春に暮らす祖母のナイナイがガンで余命3カ月と聞かされ、ビリーの一家は長春へ向かうことに。しかし帰国の口実は、あくまでも親戚の結婚式。長春の家族が、絶対にナイナイにガンの事実を知らせたくないからだ。 余命短いガンを本人に告知するべきか? 最後まで嘘をつきとおすのか? アメリカで育ったビリーと、中国の親戚の価値観がぶつかり合うドラマだが、基本的にノリは軽やか。“おばあちゃんが大好きな孫”という設定に、誰もがすんなり共感してしまう。 ナイナイに嘘がバレないようする周囲の気使いが、ときにシリアスに、ときにコミカルに展開。なにも知らないナイナイが、久々に会った孫娘のビリーに伝える言葉は、やたらと心にぐっときたりする。結婚式の花嫁が日本人というのも妙に親近感(演じるのは中国を拠点に活躍する水原碧衣)がわくはず。 中国らしく大盛り上がりの結婚式では日本の曲も歌われたりして、ややカオスと化していく様も楽しい。物語が物語だけに当然、感動も待っているが、不意打ちで涙腺を刺激する演出が見事。監督は中国系アメリカ人のルル・ワンで、彼女自身の実話が基になっており、“実話”というポイントが感動を倍にさせるはず。
『市民ケーン』の舞台裏を描く『Mank/マンク』
舞台となるのは1930~40年代のハリウッド。“時代の寵児”といわれた、若き天才監督、オーソン・ウェルズが、映画史に残る大傑作『市民ケーン』を完成させるまでの物語。とはいっても主人公は、ウェルズではなく、脚本を書いた、ハーマン・J・マンキーウィッツ(周囲に“マンク”と呼ばれていた)。 アルコール依存症が原因で大ケガを負ったマンクが、牧場の宿泊施設で、ウェルズの新作の脚本に取り組むが、そこにマンクの過去が重なっていく。ウェルズ側からの無理難題や、アルコールの欲求との格闘、看護師ら女性たちとのドラマで、オスカー俳優のゲイリー・オールドマンが、マンクを愛すべき天才として名演。思わず共感する瞬間が何度もある。 マンクが書く脚本の主人公は、旧知の新聞王ウィリアム・ハースト。ハリウッドでも権力を持つ男のスキャンダラスな面を入れこんでいるので、同時進行する過去のパートでは、映画業界のドロドロの舞台裏も展開。映画ファンには、たまらないエピソードの連続だ。 当時の映画を意識して、わざと合成っぽく見せる映像や、『ファイト・クラブ』でも語られたフィルムのウンチクを入れるなど、こだわりの演出がたっぷり。背景となる州知事選が、今のアメリカの大統領選に重なったりもする。 とはいえマニア向けというわけではなく、語り口はわかりやすいし、ハリウッド黄金期の女優を演じるアマンダ・サイフリッドのオーラを放つ美しさには、誰もがうっとりするに違いない。