原発のごみ、日本に埋める場所ありますか? 3.処分場の選定条件は?
日本科学未来館で2015年1月17日に行われた、サイエンティスト・トーク「原発のごみ、日本に埋める場所ありますか? ― 高レベル放射性廃棄物の地層処分」の全文書き起こしをお届けします。 日本ではこれまで原発を使用してきたことで核のごみである高レベル放射性廃棄物が大量に生まれていますが、その処分の手段を未だ持ち得ていません。本イベントでは地質学者の吉田英一氏を講師にお招きし、日本独自の地質現象を踏まえて、地層処分が可能な場所が日本にあるのかを科学的に見ていきます。 第3部は「処分場の選定条件は?」です。動画はページ内のプレイヤーでご覧いただけます(45分35秒~1時間10分30秒) *第1部は「なぜ地下に埋めるのか?」 *第2部は「地下環境とその機能」 ---------------- 吉田:はい。それで、この長期的な安定な場所。じゃあ、地下の状態は分かったよと。それはバリア機能もあるかもしれないと。でも、それ自体がひっくり返ったり断層で壊れたり、あるいは火山が噴いたりしたらどうすんの、それ自体が隆起したらどうするの、それも、もう皆さん、あるいは私自身も含めて、そこもちゃんと把握しておく必要のある部分でしょうと。
そういうのを現在、ここにちょっと書いてありますが、日本列島と地質環境の長期安定性という形で書いてありますが、実はこの、今、地質図を見せていますが、こういう、あ、引っくり返してもらったほうがいいかもしれないですね。マップ、データをまとめたものが日本の地質学会から出されています。これは一般の方も購入することができます。 これは何かっていうと、日本の実際の地質状態がどういったものなのかっていうのをまとめたものっていうか、できるだけ分かりやすく、現在の最新の知見等に基づいてまとめたものです。日本はご存じのように、プレートが沈み込んで、こういうフィリピン海プレートとか、あるいは日本海プレート、そういったものがこちらのユーラシアプレートの下に沈み込んでいる。 で、それこそ今日も神戸の地震のちょうど20年の節目っていいますか、日に当たりますが、例えば福島の地震なんかも基本的にはこういうプレートの運動によるものっていうことが分かっているということなんですけど、そういった現象から、日本の実際の状態、例えば地層処分に影響を及ぼすものは何かということを考えたときに、地質、活断層、隆起沈降、火山活動と、そういったものの状態を把握しておく必要があると。 それが、例えば地層処分であれば地層が古いほうがいいでしょうと。あるいは活断層であれば、それはサイトにはないと。で、隆起速度はもちろん遅いほうがいいと。10万年後に地表に出てきてもらっては困りますので。そして火山活動もやっぱりないほうがいいと。そういった状況のものが、いわゆる日本に存在するかどうかということですよね。