原発のごみ、日本に埋める場所ありますか? 3.処分場の選定条件は?
そして、地温勾配とか火山フロントということなんですけど、これは何かっていうと、日本の火山列島の配置っていうのも、実は偏りがあります。これはどうしてかっていうと、こちらからプレートが沈み込みますので、実はそのプレートの沈み込みに従って、ある地域、ある線から日本海側でしか火山っていうのは発生しないということも分かっています。この線上の配列のこの部分のところを火山フロントというふうに言っています。ちょうどフロントガラスのようなフロントになっているという意味ですね。 このフロントに応じて、実は赤い、あるいは黄緑とかいうところは、地温が高いところです。地温っていうのは地面の温度ですね。これは温泉地域とも一致していると。で、東北日本とかにいい温泉場所とか、そういったものが多いのは、こういう地下の状態によるというものです。 こちらが実は火山を、地温の低いところと火山をクローズアップしたものですが、基本、もし15キロっていうと、どれくらいは排除しないといけないかっていうと、この円がちょうど直径15キロになります。こういうところはやっぱり選べられないということですね。ただ、青いところは地温の低いところなので、そういう地域はもちろん火山があるところは地温が高いので、白いところになりますが、そうでないところは青い、地温の低いところだということになります。 で、そういう意味では、これらの知見を踏まえた上で科学的に選定するっていうことは可能であろうと。これはより安定、より地温の低いところって、そういう意味で、それが最終的にベストかどうかっていうのは、またその地域に行って調査・研究をする必要があると。ということで、そういう意味では日本の状態は地質が古いとか、活断層がないとか、火山活動がないとか、そういう隆起速度が速い地域ではないというような知見も踏まえて、重要なことは日本の地質は不均一だということです。どこもかしこも同じように火山が噴くわけではなくて、火山が噴くところは決まっていて、それは過去500万年間とか、そういったオーダーで、もう予測する、予測というよりは調べられているということですね。 あるいは地温とか、あるいは地質の分布とか、そういったことも分かっているので、そういった認識を経た上で、やっぱり日本の場所でどういうところが最初に言った地層処分場も踏まえた上で、広さも踏まえた上で適切な場所と言えるのかっていうことのサイト選定はできるだろうと。 ちょっとまとめますが、地層処分っていうのは、最初にお話ししましたが、オクロの天然原子炉、アフリカのガボン共和国のことも含めて、実際は自然に学んだ方法だと。で、地下の状態もバリア機能っていうのは一応存在しそうだと。あと、日本の地質環境も不均一性があるので、その生い立ちはちゃんと理解しうる状況にあるということで、そういう意味では日本の地下環境に合致した選定は可能であろうと。 逆に言うと、最初に私は、だから、日本で地層処分ができうるのかっていうことの疑問に立って、今ももちろんやっていますが、やる中で、これは処分できないなっていう知見に出会ったことが、今までは正直言ってありません。 それはもちろん活断層とか、火山の場所は駄目ですよ。あそこはできません。あんなところに入れるっていうんであれば、それは絶対反対します。ただ、そうでない場所を選定した残りの場所で、もし適切にやる、まあ技術もあります。地下に、海底下に液体を保存する技術もわれわれはある。 あと、今からだと例えばリニアもそうですが、80%、90%トンネルであるというような状態のリニアを造る技術もあると。そういう技術と併せた上での選定と実施っていうのは、今の私の認識においては可能かなというふうには考えます。ただし、それが将来においてもどうかっていうことは、常に技術としては追っていく必要はあるだろうというふうには思います。ちょっとオーバーしてしまいましたが。 岩崎:はい。ありがとうございます。吉田先生は日本の地質環境の評価研究に関しては第一人者でいらっしゃいますので、その最新の知見も示しながら、今日は皆さまにお話をいただいたんですが、結構専門的なお話の部分も入ってきたり、それが結構たくさんの内容が紹介されたので、なかなか、まだちょっとそこのところがよく分からなかったなっていう部分もあるかと思います。 残り時間が少なくなってしまったんですが、まずは今、お話しいただいた内容の中で先生に質問したいことを、会場の中でどなたか聞きたい方いらしたら挙手でお願いしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。今、お2人挙がっていますので、じゃあ、先に、はい。ごめんなさい。時間が短いので手短かにお願いいたします。