子どもの遊びに必要な「無意味性」と「主体性」 --目的がないからこそ身に付く能力
窪田:日本全体で見ると、ここ20~30年で近視が倍増しているんです。小学校ではメガネをかけている子どもたちが増えています。 為末:そう言われると、メガネの選手が増えているという感じは特にしないですね。 窪田:おそらく、陸上選手は特に幼少期から外に出ている時間が長いので、近視が抑制されているのだと思います。 為末:おもしろいですね。データを取って、調べてみたいです。 窪田:それはぜひやりましょう。子ども時代に陸上やサッカーなどの屋外競技をしていた人と、外での活動を何もしていなかった人を比べたら、はっきり差が出るはずです。
■外遊び時間を増やすために親ができること 窪田:第1回で、なかなか外遊びがしづらい現状についてお聞きしましたが、お子さんの外遊び時間を増やすために、親御さんにできることは何でしょう? 為末:まずは親御さんが、興味を持って外に出かけることが大事だと思います。子どもをどうやって外で遊ばせるかの前に、まずはどうやって自分が外で遊ぼうかを考える。というのも、子どもだけを外で遊ばせるのはなかなかハードルが高くて。
キャンプに行くのでも、公園に出かけるのでもいいので、自分も子どもと一緒におもしろがれるものを見つけてほしいなと。 ■「遊ぶ時間」は「余暇の時間」? 窪田:親が楽しめば、子どもも自然に外に興味を持ちそうです。 為末:そう思います。自分1人だけでやろうとすると大変かもしれないので、親同士でうまく連携がとれるといいですよね。何家族かで集まって子どもを外に連れ出し、子どもたち同士で遊ばせるような。そうした状況がもっと作りやすくなると、外遊びも楽しくなるのではないかと。
窪田:そのためにも、もっと子どもたちが自由に遊べる場所があるといいですよね。 為末:それと、子どもの遊び時間について意識を変えるとよいかもしれません。よく親御さんに言われるのが、遊ぶ時間を作るのが難しいということ。「遊びはあくまでも“余暇”の時間で、勉強やスポーツは“価値のある時間”」と思っている人も少なくありません。 でも長期的には、遊びによって得られるもののインパクトは非常に大きいと考えられています。