【乳がん治療の最新】再発の確率は?髪が抜ける抗がん剤治療を行うべき?遺伝子検査で予測可能に!【更年期女性の医療知識アップデート講座】
乳がんになったときに、再発する確率はどの程度か? 脱毛などの副作用がある抗がん剤治療は行なうべきか? 治療の選択に悩む。その判断材料になる遺伝子検査が保険適用になり、比較的安価でできるようになった。遺伝子検査によって、何がわかり、メリットは何があるのか…。もしも、のときのために知っておこう。
遺伝子研究の発展でさまざまな遺伝子検査が登場
ヒトの遺伝子データを解析するコンピュータ技術が急速に発展したことによって、その人の体質や遺伝性疾患のかかりやすさなどの解析が、以前より低コストで行えるようになってきている。 そのひとつの成果として、乳がんになったときに自分に最適な治療を選択する遺伝子検査が一般的に行えるようになった。2023年から保険適用になっている。 今、乳がんは日本女性の9人に1人がかかる、女性で最も多いがんだ。検診によって早期発見される人も増えている中で、乳がんと診断されて最初に悩むのが治療法の選択だ。 早期乳がん治療の基本は、手術だ。そのうえで、再発を予防するための抗がん剤などの薬物療法が治療の選択肢となるケースが多いのだが、その選択に迷うのだ。 「できれば、脱毛などの副作用のある抗がん剤はやりたくない」「でも、再発して命を危険にさらすことは避けたい」と、乳がんを告知されると考える。
脱毛など副作用がある抗がん剤はできればやりたくない!
乳がん診断後、どの薬を選ぶかの選択は、乳がんのタイプによって異なる。乳がんタイプは、「ホルモン受容体」と「HER2(ハーツー)」というタンパク質がそれぞれ陽性か陰性かで4タイプに分かれる。 この4タイプのうち、治療の選択が難しいケースがある。例えばホルモン受容体が陽性で、HER2が陰性の乳がんタイプの方は、ホルモン療法だけか、あるいは抗がん剤を併用するかの選択になってくる。 抗がん剤治療は、脱毛や吐き気などの副作用があるため、再発を防ぐ効果が高ければ行う意味はあるが、再発を防ぐ効果が低い場合には行いたくないというのが本音だ。本来なら、再発を防ぐ効果があると見込まれる患者さんにのみ、行うのが望ましいのだが、これまでは再発を防ぐ効果がどの程度か特定することができず、効果が不確かでも、抗がん剤治療を行わざるを得なかった。 私たち患者は、事前にリスクを知って自分に合った効果のある治療を選びたい。不必要な治療はしたくない。まして、副作用が強い抗がん剤を選ぶときはなおさらだ。