【乳がん治療の最新】再発の確率は?髪が抜ける抗がん剤治療を行うべき?遺伝子検査で予測可能に!【更年期女性の医療知識アップデート講座】
不必要な治療はやらなくてすむ
保険適用になった遺伝子検査「オンコタイプDX」(オンコタイプ DX 乳がん再発スコア®プログラム)は、患者の乳がん細胞に含まれる遺伝子を解析して、再発の確率を数値で予測できる。同時に、脱毛などの副作用がある抗がん剤を手術後に行う必要があるかどうかを判断するための材料になる。 オンコタイプDXは、自分に本当に必要な治療だけを選択できる、待ちに待った検査なのだ。こうした検査によって、乳がん治療は一人一人の状態に合わせたオーダーメイドの治療にかなり近づいてきたといえる。 この検査を受けられる対象は、ホルモン受容体陽性、HER2陰性のタイプで、脇の下のリンパ節転移が0~3個の患者だ。乳がん全体の6~7割の人がこの対象に当てはまる。 具体的には、手術で切除したがんの組織を調べて、再発にかかわる21種類の遺伝子を解析する。結果は、0~100の数値「再発スコア」で示され、点数が高いほど再発しやすいのだが、抗がん剤の効果もより大きいことがわかっており、抗がん剤を行うことが推奨される。 25以下なら再発の可能性が低く、抗がん剤を使用しても、それ以上再発を減らす効果は少ないと考えられる。ただし、50歳以下の人、またはリンパ節転移がある(陽性)人は、25以下でも抗がん剤の効果がある程度見込める人が含まれる*。遺伝子検査の結果を自分の治療選択に生かす場合にも、一人一人の状態に合わせて、医師と相談して治療を決めていくこと(シェアードディシジョンメイキング・共同意思決定)が大事だ。 一見、乳がんが大きく、抗がん剤が必要と思える人がオンコタイプDXの検査で再発リスクが低かったり、逆に、がんが小さく抗がん剤は不要と思えた人が、再発リスクが高く、その結果、抗がん剤治療を行ったり、ということもある。 これまでこの検査は、自由診療で約45万円だったが、2023年の保険適用で約13万円(3割負担の場合)に。費用負担が軽減され、受けやすくなった。 *Sparano JA, et al. Clinical and Genomic Risk to Guide the Use of Adjuvant Therapy for Breast Cancer. N Engl J Med. 2019 Jun 20;380(25):2395-2405. doi: 10.1056/NEJMoa1904819. Epub 2019 Jun 3. PMID: 31157962; PMCID: