運転手待機時間が半減…荷積みに自動フォーク、普及への現在地
物流業界の人手不足対策として、自動運転フォークリフトによる車両への荷物積み下ろしへの期待が高まっている。フォークリフトの乗り手不足の対策に加え、使い方によってトラック運転手の荷待ち時間の削減にもつながるからだ。ロジスティードは荷主など4社と連携し、3年かけて技術開発と実証を行った。今後の普及に向けた道を探る。(梶原洵子) 【写真】自動運転フォークリフト ロジスティードは大和ハウス工業、イオングローバルSCM(千葉市美浜区)、花王、フォークリフトメーカーの豊田自動織機の4社と協力し、物流の効率化に向けて自動フォークとスワップボディー車両を組み合わせた仕組みを構築して検証した。「現場ではフォークリフトの乗り手は40―50代ばかりで、人が少なく困っている。仕組みを考えるにあたり、まず自動運転フォークの利用が決まった」とエンジニアリング開発本部の田中浩一本部長は話す。 ただ、自動フォークによる積み下ろしだけではトラック運転手不足などの他の物流課題を解決できない。そこで運転席などの車体部分と荷台(コンテナ)を切り離せるスワップボディー車を同社で初めて採用した。同車は運んできたコンテナと荷積みされたコンテナを交換することで、荷待ち時間を大幅に短縮できる。 この仕組みを実証した結果、発着地点での運転手の待機時間を半分以下に、運転手の業務時間を平均34・5%削減した。輸配送時のエネルギー消費量も6%削減し、狙い通りの効果を確認できた。 ただ、今回の実証でより重視したのは、普及に向けた課題の洗い出しだ。自動フォークに関しては、「人間は持ち上げた荷物を隣の荷物に軽く当て、隣の荷物にぴったり寄せて積むが、自動運転フォークは力加減が難しく強めに当ててしまう」(田中本部長)という課題が出てきた。スワップボディー車用コンテナは荷積み時に脚で支えるため、強い力がかかると倒れてしまう。現在自動フォークが使われている倉庫内作業より高精度な動作が求められる。 また、スワップボディー車は、コンテナと車体部分の接続時に広い場所が必要なことや操作が難しいことなども課題となる。 一方、トラックを使うと荷積みの難易度は下がるが、荷待ち時間は減らない。荷台を切り離せるトレーラーは荷積みの難易度が下がり、荷待ち時間も減らせるが、荷台部分にも自動車税がかかり、コストが増える。また、けん引免許が必要なため、運転できる人も少ない。車両は事業者の状況に合わせて選ぶ必要がありそうだ。 今後、ロジスティードではメーカーなどの関係者と課題を共有しながら対策を検討し、「どんな業態であれば使えるか考えたい」(同)とする。ほかにも最適な倉庫のレイアウトの検討など荷主と協力すべき課題もある。今回の実証は荷主企業と協力しており、物流網の関係者間で課題を共有することで新技術の導入が加速することが期待される。