全日本2位で北京五輪出場決定的…トリプルアクセルに挑んだ樋口新葉を支えた4年前の思い…「倍返し」のツイート
北京冬季五輪の代表最終選考会を兼ねた、フィギュアスケートの全日本選手権第3日が25日にさいたまスーパーアリーナで行われ、女子フリーで樋口新葉(20・明治大/ノエビア)がショートプログラム(SP)に続いて2位に入り、初の五輪出場を決定的にした。 演技冒頭の大技トリプルアクセルで着氷が乱れながら、何とか回り切って最小限の減点にとどめた樋口は、直後のルッツ-トウループの連続3回転ジャンプなどでリズムよく着氷。演技後半のスピンやステップでは最高難度のレベル4を獲得し、フリーの147.12点、SPとの合計221.78点とともにシーズンベストをマークした。 平昌冬季五輪代表の有力候補として臨みながら4位に終わり、無念の涙を流した全日本選手権から4年。五輪シーズンのテーマに掲げてきた「自分に勝つ!」を大舞台で実践した樋口は、キス・アンド・クライで万感の思いをこらえ切れずに号泣した。 SPに続いて圧巻の演技を披露した坂本花織(21・シスメックス)が、合計234.06点で3年ぶり2度目の優勝を果たし、3位にはトリプルアクセルを成功させた河辺愛菜(17・木下アカデミー)が同209.65点で入った。連続五輪出場を内定させた坂本を含めて3枠の女子代表は、男子およびアイスダンス代表とともに26日に正式発表される。
「強い気持ちで滑りきることができた」
こみあげてくる思いを抑えきれない。4分間の演技を締めくくる、難易度レベル4のフライング足替えコンビスピンを成功させた直後だった。樋口はさいたまスーパーアリーナの天井へ両手を突き上げながら、次の瞬間、何かを叫んだ。 口元の動きから、発せられた言葉がはっきりと伝わってきた。 「やったぁー!」 リンクから引き上げながらも、何度も同じように口元を動かした。4歳のときから指導を受けてきた岡島功治コーチが笑顔で出迎え、抱きしめられながら「よくやった」とねぎらわれた。万感の思いは両方の瞳からこぼれ落ちた涙へと変わった。 「ショートプログラムのときから、絶対に気持ちを強く持って演技すると決めてこの試合に来ました。ショートもフリーも、本当に強い気持ちで滑りきることができました」 フラッシュインタビューで明かした決意を、演技の冒頭で実践した。 23日のSPでは回避した大技トリプルアクセルを、満を持して繰り出した。しかし、着氷が乱れてしまう。何とかステップアウトでしのいで回り切り、減点を最小限にとどめた瞬間に、演技開始前に足が震えるほど募らせていた不安や緊張から解放された。 トリプルアクセルでミスを犯したショックを、転倒しなければそれでよし、というポジティブな思いが上回った。続くルッツ-トウループの連続3回転ジャンプ、トリプルサルコウ、ダブルアクセルのジャンプをすべてリズムよく着氷させる。