執念実る! ゴッホ《女性の頭部》をオランダの美術館が14億円で購入
オランダ南部のヘルトーゲンボッシュにあるノールドブラバンツ美術館は、フィンセント・ファン・ゴッホ《女性の頭部(Gordina de Groot)》(1885)を個人コレクターから860万ユーロ(約14億円)で購入したとアート・ニューズペーパーが伝えた。この額は、美術館が購入したゴッホ作品の中で最高額となる。 同作を販売したのは、ロンドンを拠点とする画商でコレクターのダニエル・カッツで、2023年2月にクリスティーズ・ロンドンで行われた20/21世紀イブニングセールで《女性の頭部(Gordina de Groot)》を競り落とした。同作は120年間同じ持ち主が所有していたもので、予想落札価格は100万ポンドから200万ポンド(約1億9000万円~約3億9000万円)だった。実はそのオークションにノールドブラバンツ美術館も参加していたが、事情により辞退せざるを得なくなり、最終的にカッツが484万2000ポンド(約9億4300万円)で落札した。 数か月後に《女性の頭部(Gordina de Groot)》がカッツのもとに届き、個人コレクションに入れられた。しかしノールドブラバンツ美術館は諦めていなかった。同館のディレクター、ジャクリーヌ・グランジャンとキュレーターのヘレワイズ・ベルガーはカッツに、買ったばかりのゴッホを手放さないかと持ちかけたのだ。彼は売却には応じなかったが、貸し出しには同意した。 作品は2024年1月に同館で公開された。 その後同館のある北ブラバント州とカッツの妻に後押しされる形で、カッツは860万ユーロ(約14億円)で売却することを承諾した。取得に際する費用をいくらか負担することとなったが、それでも200万ポンド(約3億9000万円)近い利益を得る計算になる。 その後、同館は「ブラバントのモナ・リザ」と題した絵画の資金調達キャンペーンを開始。3000人からの寄付に加え、中央政府購入基金やモンドリアン基金、工芸文化財団からも資金の贈与があり、無事絵画を収蔵することに成功した。 ノールドブラバンツ美術館は近年、ゴッホ作品の展示を拡大する野心的な計画を立てており、2016年以降に5点購入し、6点を借り受けている。2026年にはゴッホ作品専用の展示棟を開設予定だ。