「みんなで遊べるのは久しぶり」 わが子の「体験格差」に悩むシンママを救ったもの 習い事や旅行、アクティビティは贅沢なものか
このサポートは企業の支えなくしては成り立たない。支える企業も、プラットフォームができたことで、”私たちも何か取り組みたい”と、立ち上がることができたようだ。 取材をした日のプログラム提供をした小田急電鉄は、日頃よりCSR活動に力を入れてきていた。 広報部の荻本さんは、「これまで当社は子どもの笑顔や成長、子育てされる親御さまへ寄り添う気持ちを“子育て応援ポリシー”と掲げて、小児IC運賃50円化や、グループ会社をあげての各種体験イベントなどを実施してきた。
そのなかで、経済的に切実に困っている人たちの声を結構いただいていた。とはいえ、”誰でもいつでも無料に”とキャンペーンを拡大して実施しても、本当に必要な人に届くのか? という課題もあった。 本質的なことが解決されるためにはどうしたらいいのかと模索をしていたときに、他社を通じてフローレンスさんと出会った」と話す。 そのうえで「企業はもっと困っている人のために貢献したいと願っているはずだ。今回のような活動がもっと認知されて、参加する企業が増えれば」と、希望を込めて話してくれた。それまではフローレンスのことを知らなかったそうだが、こうして企業とNPOがつながることで届けたい層とのマッチングハブとして機能している。
■広がる体験格差、埋めるためには? 2020年以降、コロナ禍や物価高騰の影響を受けて、体験格差はますます広がっている。 2023年に発表されたCFCの子どもの「体験格差」実態調査最終報告書によると、世帯年収300万円未満の家庭の約2人に1人(50.6%)が、物価高騰の影響で、子どもの学校外の体験機会が減少した、または今後減少する可能性がある、と答えた。また、世帯年収300万円未満の家庭のうち、物価高騰の影響で子どもの体験機会が減少したと回答した割合は、世帯年収600万円以上の家庭の2.2倍だった。
さらに、ひとり親の家庭の約2人に1人(48.5%)が、物価高騰の影響で子どもの学校外の体験や機会が減少した、または今後減少する可能性があるとしていることからも、その実情がわかる。 これから社会情勢の変化で、ますますこの課題は溝が深くなっていくのではないだろうか。だからこそ多くの人に体験をしてもらえるように、これからもこうした活動が広がっていくことを見守りたい。
永見 薫 :ライター