「みんなで遊べるのは久しぶり」 わが子の「体験格差」に悩むシンママを救ったもの 習い事や旅行、アクティビティは贅沢なものか
そうなると、親は私だけなので、子どもを同時にそれぞれの習いごとへ行かせるのは難しくなります」と三平さん。 普段子どもたちが学校に行っているときは、それでも時間をずらしてやりくりできるからなんとかなっているが、夏休みになると実に頭を悩ますという。 「例えばバレーボールやボーイスカウトなどは、試合やイベントの出演になると長時間の付き添いになります。練習も多いチームなので、旅行の日程を組むのもなかなか難しい。みんなが行きたいところにそれぞれ連れていってあげたくても、叶わないのです」(三平さん)
現状は長男・長女が習いごとやアクティビティ体験することを優先させており、それも金銭的にも負担が少ない道のりを模索し続けている。たしかに今は貯金があるのでやりくりできているが、食費や教育費などこれからさらに出費がかさめば、悩ましくなることもあるだろう。 だからこそ仕事をしているあいだも、ひとり親支援の情報サイトは常にチェックして、サポートしてもらえるあらゆるものを検討していた。 情報を探すなかで、三平さんは今回の「こども冒険バンク」の存在を知ったそうだ。
「これまでのひとり親支援制度は、フードバンクをはじめとした医療や食料などの物的な支援が多く、体験の支援はそう多くありませんでした。今回のこども冒険バンクのような体験プログラムは、今まで目にしたことがなかったので、見つけたときにはうれしかったです」 同法人が提供する「こども冒険バンク」は、企業とのコラボレーションにより、現在はスシローやJAL、探究学舎など18社約1700枠の体験が集まっている。内容はさまざまで、工場見学や博物館、お仕事体験などがある。
対象はさまざまな要因によって体験が不足しがちな家庭で、経済的に厳しい世帯年収が400万円以下の世帯、ひとり親・実質ひとり親世帯に提供される。事前に同法人に申請が必要で、審査を通った家族を無料で招待している。 ■いざ「ロマンスカーミュージアム」へ 8月26日、家族が足を延ばしたのは、神奈川県海老名市。目的地は小田急電鉄株式会社が運営する「ロマンスカーミュージアム」だ。 10時の開館前には、夏休み最終日を満喫しようと張り切る親子が押しかけ大行列。コロナ禍を経て、リアルな体験が復活してからは、土日を中心に大盛況だという。