「みんなで遊べるのは久しぶり」 わが子の「体験格差」に悩むシンママを救ったもの 習い事や旅行、アクティビティは贅沢なものか
事業を実施するなかで、利用家庭と関わる際に、切実に困っていることとして「体験の欠如」という言葉を何度も耳にしていたのだ。 どうしても生きることを優先するあまり、衣食住は確保を努めるけれど、体験活動にまで手が回らないという困りごとの声が、日に日に増していったことを実感した。 そこで、2023年にまずは単発のキャンペーンとして、子どもの格差が浮き彫りとなる夏休み期間に「#夏休み格差をなくそう プロジェクト」を実施。複数の企業からレジャー施設や外食、プログラミング教室などの体験機会を提供してもらい、2カ月半の期間中に経済的な困難を抱える家庭など2885世帯に体験を届けた。
本プロジェクトには想定を超える応募が集まり、利用した家庭からは多くの喜びの声が寄せられたという。とはいえ、一過性のキャンペーンでは解決されない。 厚生労働省の「2021年 国民生活基礎調査」による相対的貧困の基準は、世帯年収127万円とされ、相対的貧困率は15.4%に達している。つまり、日本人口の6人に1人、約2000万人が貧困ライン以下で生活しているのだ。 こうした潜在的貧困層の課題を解決するためには、単発のキャンペーンではつながりにくい。そこで継続的に提供できるよう、2024年に「こども冒険バンク」を立ち上げた。
■体験格差は金銭的な問題だけではない 今回のプロジェクトマネージャーを務める、フローレンスの皆川春菜さんは、「体験格差の原因は複数あり、金銭的な面だけではない」と話す。 もちろん第一の問題として挙げられるのは、低収入が理由で体験に投資ができないということだが、次いで挙がるのは、ひとり親や共働きなど大人が時間や手を空けられないといった理由で、体験をさせてあげられないことだという。 「こうしたさまざまな理由で体験を諦めている人に、少しでもサポートの仕組みを知ってもらい、楽しんでほしいなと思っています」