「ユニクロに+1000円」の絶妙さ…「グローバルワーク」がショッピングセンターの人気店に成長できたワケ
業界3位のアダストリアのブランドの一つである「グローバルワーク」が好調だ。ライターの南充浩さんは「アダストリアも元をたどればジーンズカジュアルの専門店だったが、いまはその面影を感じさせない。むしろユニクロとも合わせやすい『キレイ目』なラインナップがマス層に受けている」という――。 【写真】グローバルワークの店舗外観 ■業界3位「アダストリア」の人気ブランドが好調 国内のアパレル小売店の売上高は1位がユニクロやジーユーを展開するファーストリテイリング、2位がしまむらで、他を寄せ付けない圧倒的な強さを誇っていることは広く知られています。 それでは、3位をご存知でしょうか。 ジワジワと売上高を拡大し続けて3位に上り詰めたのがアダストリアです。社としての知名度はファーストリテイリング、しまむらに比べると一段階低いと感じられますが、最近ではイトーヨーカドーの衣料品売り場と提携して「ファウンドグッド」というブランド展開を開始したことから、一般層からの知名度も高まりつつあるのではないでしょうか。 また、一度撤退して2023年に再上陸した「フォーエバー21」の国内向け商品をライセンス生産し、店舗運営を開始したことも知名度アップに寄与しているでしょう。 ほかにも、「niko and ...」(ニコアンド)、「LOWRYS FARM」(ローリーズファーム)、「studio CLIP」(スタディオクリップ)というブランド名を聞いた人もいるでしょう。これらもすべてアダストリアのブランドです。 そんなアダストリアの最大のブランドが「GLOBAL WORK」(グローバルワーク)であり、同ブランドがアダストリア全体の好調を牽引しています。 今回はグローバルワークの好調の要因を見たいと思います。
■売り上げの2割を占める「グローバルワーク」 アダストリアの2024年2月期連結決算は売上高2755億9600万円(対前期比13.6%増)、営業利益180億1500万円(同56.4%増)、経常利益183億8900万円(同52.9%増)、当期利益135億1300万円(同79.2%増)と大幅増収増益で、2025年2月期連結決算の売上高は2900億円の見込みです。 中でもグローバルワークの24年2月期売上高は対前期比13.3%増の516億7300万円で、ついに500億円の大台を突破しました。数十ブランドを持つアダストリアにとって、売上の2割を占める巨大ブランドといえます。 現在では大型ショッピングセンター内のテナントとして、「グローバルワーク」はユニクロやジーユーなどとともにお馴染みのブランドだといえます。業界内でも「大型ショッピングセンターはユニクロ、ジーユーに次いで強いテナントがグローバルワークだ」と指摘する専門店社長もいるほどに堅調です。 多くの方にとってグローバルワークというのは10~15年くらい前からブランドとして認識し始めたというところではないかと思います。比較的に耳新しいブランドとして捉えられているのではないでしょうか。しかし、意外なことにブランドとしての歴史は長く、今年10月にはブランド設立30周年を迎えました。 ■20年前といまでは商品テイストが異なっていた ブランドが設立された1994年当時の記憶を思い返してみても、筆者にはグローバルワークというブランド名を耳にした覚えはありません。しかし、2000年代前半、もっと正確に言えば2003年頃までくると、イオンモール内にあったグローバルワークで買い物をした記憶があり、今でもその時に買った帽子は残っています。なので、20年以上前には大型ショッピングセンター内への出店が急速に広がっていたことになります。 この当時のグローバルワークは商品のテイストが大きく異なっていました。 当時のグローバルワークはファミリー向けブランドではあるものの、いわゆるビンテージテイストが強いアメカジブランドでした。天然素材重視で色あせたようなジーンズやワークパンツがメイン商材のブランドだったのです。当時は筆者もアメカジ好きだったので、手ごろな値段設定と相まって購入したことを今でも鮮明に覚えています。 そんなグローバルワークが都会的なファミリーカジュアルに商品テイストを変えたのは2000年代後半からのことです。