「ユニクロに+1000円」の絶妙さ…「グローバルワーク」がショッピングセンターの人気店に成長できたワケ
■わかりやすい商品名で売り上げ増 わかりやすい商品名も新規顧客の獲得に一役買ったといえるでしょう。アダストリアの木村治社長は他のインタビュー記事で「わかりやすい商品名に変えたこと」を好調の要因のひとつとして挙げています。「ウツクシルエットパンツ」「さらさらリラックスブラウス」「メルティニット」などです。 「ウツクシルエットパンツ」はもともとは「TRテーパードパンツ」という名前でした。アダストリアによると、名前を変えた2020年は前年比で売上高が20%もアップし、これまでに累計455万本を売り上げたといいます。 ともすると正統派のファッション業界人からは「ベタ」と言って嫌われるネーミングですが、マス層にアピールするには「わかりやすさ」は不可欠です。ユニクロも「感動ジャケット」「感動パンツ」「ドライ」「ヒートテック」などのわかりやすいネーミングの商品でヒットを連発しています。 他にも岡本の「まるでこたつソックス」や無印良品の「綿であったかニット」など一目でその機能や特徴が頭に入ってくるがゆえにマス層に売れている衣料品は数多くあります。マス層には、一見オシャレだが意味の理解できないフランス語の商品名よりも、ベタでもわかりやすい商品名のほうがはるかに強く購買を後押しします。 同業界にはいまだに「外国語を使ったカッコイイ名前の商品こそがイケている」という考えを持った人が少なからずいて、ベタな名前の商品は失笑される危険性があるのも事実です。それを恐れずにわかりやすい商品名を採用したこともグローバルワークの成長には大きな要因となったといえるでしょう。 すでに台湾や香港に出店しているグローバルワークは、25年はフィリピンやタイといった東南アジアへの出店を強化するといいます。同社は「日本と同じくミドル層の顧客獲得を目指す」と言っています。決して派手さはないグローバルワークが今後もジワジワと拡大し続け、30年2月期に売上高1000億円に到達できるかどうかを注視したいと思っています。 ---------- 南 充浩(みなみ・みつひろ) ライター 繊維業界新聞記者として、ジーンズ業界を担当。紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下までを取材してきた。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。 ----------
ライター 南 充浩