競合続々、バスクチーズケーキをめぐる戦い――コンビニ業界で「鬼門」だったチーズケーキを変革
2019年のスイーツ界のヒット商品はタピオカだけではない。「バスクチーズケーキ」はその筆頭だ。大手コンビニ「ローソン」発の「バスチー」が発火点となり、「セブン-イレブン」「ミニストップ」などの競合他社も続々参入。いまやコンビニだけでなく、大手スーパーなどでも独自開発の動きが広がる。長らくコンビニ業界では、目立ったヒット作がなく「鬼門」とまで言われたチーズケーキに変革をもたらしたバスクチーズケーキをめぐる動きを追った。(取材・文:吉岡秀子、写真:高橋宗正/Yahoo!ニュース 特集編集部)
レアでもベイクドでもないチーズケーキ
「バスクチーズケーキ」とは、スペイン側のバスク地方で食べられてきたチーズケーキ。日本で人気の「レア」でも「ベイクド」でもない新鮮な食べ心地が話題となり、街のスイーツ店では続々と新メニューとして投入された。様々なメディアでその名称が使われるなど、2019年を代表するスイーツになった。
ブームの火付け役は大手コンビニの「ローソン」だ。今年3月、ローソンは「バスチー」(税込み215円)という商品名で売り出し、自社のスイーツ販売記録を塗り替える大ヒットにつなげた。ローソンには2009年の発売以降、10年にわたって同社の看板スイーツの座を守ってきた「Uchi Cafe プレミアムロールケーキ」というスイーツがある。この商品が、売り上げ100万個を突破したのは発売から5日目のこと。
バスチーは3日で100万個を突破。記録を2日間更新したのだ。
新しい風を感じたのか。コンビニ業界最大手の「セブン-イレブン」(以下セブン)が動く。10月8日に「バスクチーズケーキ」(税込257円)を発売したのだ。
発売時、セブンのスイーツ売り場には「濃厚バニラカスタードのシュークリーム」という売り上げ1位の商品があった。シュークリームは不動の人気を誇る商品だったが、バスクチーズケーキはあっという間にその1位の座を奪取。売れに売れ、発売から1カ月半ほどで売り切れ(現在)にまでなった。広報担当者は言う。