【ミラノデザインウィーク2024】世界を魅了したインスタレーション 5
来場者たちの心を引きつける、革新性と驚きに満ちたインスタレーションはミラノデザインウィークの華。デザイナーの挑戦によって生まれ、ブランドの哲学が表されている。「エル・デコ」2024年8月号より
WHISPERS OF NATURE by nendo
身近な自然現象を新たな視点で見つめる 「パオラ レンティ」のショールームの一角で個展を行ったネンド。キャリアのスタートとなった2003年のサローネサテリテの参加から20年を経て、今年はその時発表したテーマ“自然”に回帰し、雲や雨などの自然現象を解釈した5つのコレクションを製作した。「商業製品とは違う『出口が見えないモノづくり』がしたくて、あえて実用面は追求せずに素材を生かした実験的な作品をつくりました」と佐藤は語る。 <写真>佐藤オオキと新作シェルフ“クラスタード クラウズ”。雲を“半透明の集積体”と捉え、空に漂う雲の重なりや浮遊感をステンレス製パンチングメタルを使って表現した。
<写真>佐藤が「角度によって透明にも不透明にも見えます」と語るシェルフ“クラスタード クラウズ”。パンチングの穴はモアレを最小限に抑えるため、デジタルシミュレーションで検証し、背板の穴の配置を30度回転させるなど細部まで美しさを追求。
<写真>円筒に糸を巻きつけ、部分的に染料に浸して1本の糸に模様をつけ、それを織って多彩な柄をつくり出した“ポンド ディッピング”。浸け方や円筒の太さで模様が変わる。
<写真>通り雨の時間の経過を5段階に分け、アルミのボウルを支える2mmの鏡面ステンレス製棒材で表現した“パッシング レイン”。何本で支えられるかを実験しながら溶接の限界に挑戦したという。
FLOS
1988年にスタルクと初披露したヴィスコンティ宮殿を舞台に 1988年にヴィスコンティ宮殿で初めてコラボレーションしたフィリップ・スタルクなどが参加した展示会から着想し、当時と同じ場所で新作を発表した「フロス」。マイケル・アナスタシアデスの“IC”10周年を記念したアイテムや、フォルマファンタズマの“スーパーワイヤー”など3つのコレクションを展示した。 <写真>フォルマファンタズマによる“スーパーワイヤー”。ガラス板を合わせて六角形を形成し、内部に新開発した薄いLEDを配している。LEDの取り換えも可能。