育成ながら「任意引退」…突然の“勲章”に感謝 叶わなかった夢、辞めると決めた覚悟
オリックス・育成の山中尭之が現役引退「誰にも相談はしませんでした」
突然の決断に、悔いはなかった。みやざきフェニックス・リーグ参戦中に現役引退が発表されたオリックス・育成3年目の山中尭之外野手。完全燃焼の末にユニホームを脱いだ。 【写真】胸元も露わなドレス姿…戦力外男とセレブ女優の“格差婚”に大混乱 幸せそうな2ショット 「シーズンが終わった時から、引退を考えていました。フェニックス・リーグで本塁打も打ちましたが、もうやり切ったという思いが強くなって、球団に引退をお願いしました」。2024年のドラフト会議が終わった直後、大阪・舞洲の球団施設で山中は語った。夢を描き、新たにプロ野球の門をくぐる若者に負けないほど清々しい笑顔でだった。 山中は茨城県出身。つくば秀英高、共栄大を経て入団したBCリーグ・茨城アストロプラネッツでは2021年に11本塁打を放ち、将来の大砲候補として2021年育成ドラフト1位でオリックスに指名されて入団した。 入団1年目は2軍で打率.195、1本塁打にとどまったが、プロ2年目は63試合に出場し、打率.218、野口智哉内野手と並ぶチームトップの6本塁打を放った。育成契約3年目の今季は35試合に出場し、打率.260、頓宮裕真捕手と並ぶチームトップの4本塁打を記録するなど、自慢の長打力を発揮してきた。 覚悟を決めて臨んだ3年目だった。球団が評価すれば再契約は可能だが、最終年のつもりでいた。ウエスタン・リーグの開幕戦、くふうハヤテ戦(ちゅ~る)で3ランを含む4安打の好スタートを切ったが、育成選手の出場枠の関係もあって出場は限られた。調子を維持することが難しく、7月末の成績は打率.217、2本塁打で支配下登録選手への昇格は果たせなかった。 「ショックはありませんでした」という山中に、育成コーチたちが猛練習に付き合ってくれた。遠征に参加できない時や、本拠地での試合出場の予定がない時には、由田慎太郎・育成コーチが打撃投手を務めてくれ、納得いくまで打ち込んだ。ネット越しには、静かに見守る波留敏夫・育成チーフコーチの姿が常にあった。