「意地悪な言い方をすれば国民民主党って…」池上彰が“103万の壁”を国民・玉木氏に直撃【池上無双炸裂】対談前編
● 5年連続で税収が過去最高額 税金の使い残しも毎年発生している 玉木 私たちの案では「年収の壁」、すなわち所得税の基礎控除と給与所得控除を103万円から178万円にする、と言っているのですが、財務省は単純計算で国税が3.75兆円、地方も3.75兆円減るため、全体で7兆6000億円くらい減ると算出しています。 今年の補正予算を見ると、税収は当初の予定よりも増えていて、まさに3.8兆円増だったんです。「できるじゃん」と(笑)。 「控除額を拡大して税収が減った分はよそから持ってこなければならない」という発想ではなく、すでに予定よりも税収が増えているのだから、「取り過ぎた分はお返ししよう」という考えです。 池上 反論にはこういうものがあるでしょう。「いや、たまたま今年は増えたけれど、来年はどうなるかわからない。なのに制度を変えて大丈夫なのか」と。 玉木 2023年の税収の上振れは2.5兆円、2022年は6兆円です。私の計算では、コロナ後にインフレが進んだことで年平均4兆円ずつ、税収が上振れていて、5年連続で税収が過去最高を更新しています。 その上、「不用」という税金の使い残しも毎年のように発生していて、2023年は約7兆円、2022年は11兆円にも達している。こうした数字をもう少し冷静に分析する必要があるのではないでしょうか。 ● 総理になって官邸に入ると 国民の声が届かなくなる 池上 先ほど、「手取りが増えない」という国民の声を聞いて政策に生かした、とおっしゃっていましたね。具体的にはどうやっているんですか。 玉木 一つはいろいろな地方を回って街頭で話をした後に、聞きに来てくれた方々から直接聞いています。 池上 わざわざ街頭に立ち聞きに来る人って、やっぱり聞くだけじゃなくて、言いたいこともあるんでしょう。 玉木 そうなんです。国の制度と言っても気付かないことは山のようにありますから、やはり国民から直接、話を聞ける機会というのは貴重です。 池上 首相になって官邸に入ると国民の声が届かなくなりますからね。 玉木 いわゆる「官邸病」です。今、首相の心と身体が国民と入れ替わるというドラマもやっていますが、望むと望まざるとにかかわらず、官邸に入ると世の中の情報から遮断されてしまいますから。 池上 首相官邸って異様な空間ですよね。