【47歳・内田恭子の今】アナウンサー時代から年齢を重ねて見つけた「心の筋トレ」。自分らしくいられるためのマインドフルネスの世界
結婚・出産を経て、変わったこと・変わらなかったこと
人生の大きな節目である結婚や出産。内田さんは2006年に結婚し、今では2人の男の子のお母さんでもあります。仕事とプライベート、どのようにバランスを取っているのでしょうか。 「結婚するなら『自分が自分らしくいられる人』がいいな、と。実は夫とお付き合いをしてすぐにプロポーズも受けていて、ゆくゆくはこの人と結婚するだろうと感じていましたが、『今じゃない!』って(笑)。その時は仕事や私自身の生活にゆとりがなくて、気持ちに余裕が持てなかったんです。だからもう少し待ってほしい、とお願いしました。それから2年後の30歳で結婚しました」(内田さん) 今は二人の男の子の母として忙しい日々を過ごされている内田さん。出産は大きな転機になったとか? 「そうなんです。初めて妊娠がわかった時、マタニティブルーもなく、お腹が大きくなっても母としての実感がわかず、これから先、淡々と子育てしていくのかなと思っていましたが、全然違いました。自分の時間や生活を守りたい、と思っていたのに、自分の思うようにいかないことばかり。世のお母さんと同じようにあーでもない、こーでもないと戸惑い・悩みながら子育てしていましたし、今だって日々考えることばかりです。けれど、子どもたちは、可愛くて仕方がありません。 思うようにいかないことばかりですが、『これもアリ』と思えるようになったのは私自身、成長の証かな(笑)。それに、子どもたちもすぐに大人になってしまいます。あとどれくらい家族で一緒にいられるかな~と考えると、この時間が愛おしいんです。仕事をセーブしても一緒にいたいと感じる大切な存在です」(内田さん)
ありのままの自分でいるために学んで掴んだセカンドキャリア
とは言え、フリーランスのアナウンサーとしてのキャリアもしっかり築いている内田さん。 「アナウンサーと言ってもその内容は多岐にわたります。イベントの司会からナレーション、昨年は医療分野の国際会議の司会進行を英語・日本語の二カ国語で行う仕事を受けてきました。ファーストキャリアでアナウンサーという仕事に出合えたたことには感謝しかありません。自分の生活に合わせて仕事は続けていきたいですね」(内田さん) そして、つい最近、新しいことにもチャレンジしているとか? 「コロナ禍に出合ったのが『マインドフルネス』というメンタルケアのスキルです。元々は臨床心理士に以前から興味があり、大学院を受験するために勉強をしていた時に、近代心理学で出てきたマインドフルネス。『これだ!』ときましたね。今ここでマインドフルネスを学ばないと、きっと後悔するだろうと思いました。 私が教えるマインドフルネスはMBSRというストレス低減法。医学博士によって開発された医学的エビデンスに基づいたプログラムで、心の心理学と頭の脳科学をつなぐブリッジのようなものです。私たちは日常のほとんどが外に意識が向いています。スマホを眺めていたり、PCと向かい続けたり、人の話に相槌をうったり。 そういう自分自身と客観的に向き合うために、メディテーションを行なっていきます。自分の行動や思考のパターンが分かるようになり、感情や思考と距離をとるスキルを学ぶことで自分のメンタルが整えられるのです。フィジカルを整えるのと同じように大事なことなのです。 海外ではカウンセリングやセラピーが身近にあるのに、日本はメンタルを語るという文化がまだ根付いてなく、一般化しづらいところ。変化が多い現代においては、元気な人でもメンタルをきちんとケアして鍛える必要があります。その強い味方となってくれるのがマインドフルネスだと思います。 マインドフルネスを学ぶならやはり海外が主流。コロナ禍でしたのでオンラインで受講できるところを探し、マサチューセッツ大学でまずはMBSRを自分でとってみて、もっと深く知りたいと思い、ヨーロッパ最古のマインドフルネス機関であるIMA(Institute for Mindfulness-Based Approaches)で国際基準のMBSRの資格を取りました。1年半をかけて、授業と週一のグループスタディーを得て、まるで学生生活を再び! 的な感じでしたが、世界中の素晴らしい先生や、いまだに助け合っている仲間とも出会え、かけがいのない時間となりました」(内田さん) 卒業とともに資格を取得し、今は少人数制のマインドフルネス講座を開いているそう。昨年は一般向けのワークショップやワンデーリトリートなども開催し、好評だったとか。 「マインドフルネスの瞑想は、この瞬間に対する『集中力』を高めるスキルです。集中力が高まってくると、自分の心や体が発しているメッセージやサインに気づくことができるようになり、今、どんなストレスに晒されているかもわかるようになるんです。結果、その場によりそった行動や思考ができるようになるんです。 私が注目したのは呼吸法です。日本人は真面目で自分のケアがおろそかになりがちでしょう。ストレスが溜まり、『呼吸がうまくできない』と悩む人が多いのです。1日5分でもいいので呼吸を整えると心の安心を得られるんですよね。現代人は自分が自分らしくいられるための大切な時間を意識して作ることが大切で、私は『心の筋トレ』と呼んでいます」(内田さん)