【大相撲】琴桜は「一番力が出る年齢」 角界OB維新力が指摘する〝綱とり一撃成功〟のカギ
番付の頂点へ〝勝負の初場所〟となりそうだ。大相撲九州場所(福岡国際センター)で、大関琴桜(27=佐渡ヶ嶽)が14勝1敗の好成績で初優勝を果たした。祖父が元横綱琴桜で、元関脇琴ノ若の佐渡ヶ嶽親方を父に持つ〝サラブレッド〟は、来年の初場所(1月12日初日、東京・両国国技館)で初の横綱昇進に挑む。角界OBで〝平成の牛若丸〟の異名を持った元プロレスラーの維新力(63)が、琴桜の綱とり成功に大きな期待を寄せた。 【写真】親子3人の記念撮影でおどける琴桜 琴桜は25日、福岡市内の部屋宿舎で一夜明け会見に出席。千秋楽に大関豊昇龍(立浪)との相星決戦を制して初の賜杯を獲得した。「(表彰式で)賜杯をいただいた時は本当にうれしかった。あの瞬間を小さいころから何度も見てきて、こうなりたいと思ってやってきたので」と満面の笑みを浮かべた。 3日目に幕内王鵬(大嶽)に屈したが、翌日以降は負けを引きずらなかった。この要因について「負けた日もパッと切り替えて、ずっと同じメンタルで駆け抜けられたのが一番良かった。(15日間で)一喜一憂せずに、フラットな気持ちでいけました」と充実した表情で振り返った。 今場所の琴桜について、元十両力士の維新力は「腰が重くて下半身が安定していた。琴桜さんは守っても良し、攻めても良しで、懐が深い。いつもは後半戦で崩れるけど、今場所は崩れることなく自分の相撲を取り切った。後半戦でも安易に雑な相撲を取らなかった。ある意味〝横綱相撲〟的な、しっかり相手を受け止めて自分の体勢に持ち直して、圧倒する相撲も何番かあった」と高く評価した。 1月の初場所で13勝を挙げて大関昇進。偉大な祖父も大関5場所目で初優勝を果たし、番付の頂点まで上りつめて通算5度の賜杯を獲得した。維新力は「琴桜さんは今27歳だから、一番力が出る年齢だと思う。よく稽古もするみたいだし、今場所のような相撲を取っていけば、初場所で綱とり(成功)もあると思う。圧力がもっとつけば、あっという間に(横綱に)いくのでは」と分析した。 その上で「横綱になったら先代と(番付が)並ぶわけだから楽しみ。歴代の強い横綱は(大関の地位で)優勝したら、パッと勢いで(横綱に)上がっている。来場所が10勝とか11勝ぐらいだとまた振り出しに戻っちゃうし、綱とりの場所で低迷するのはあまりない。ここでパパッと上がれば、優勝回数もどんどん増えていくだろうし」と、琴桜が〝大横綱〟への資格を満たす活躍を見せるのか大きな期待を寄せた。 この日に本人も、綱とりについて「未知数な部分があるので想像はつかないけど、そのぐらいの方があまり考えなくて済む。もうやるしかないので。しっかり準備をして、覚悟を決めてやっていくだけ」と闘志を燃やした。〝横綱琴桜〟復活へ、最初のチャンスをものにできるか。
加田晃啓