人気の「平屋住宅」、実は二階建てに比べて建築費が…建築家が「オール電化」「コンパクトハウス」でこだわるべきポイントを紹介
子どもがもうすぐ独立、このまま独身で生きようかと考えている、親がそろそろ要介護、定年退職が見えてきた、…など、人生のセカンドステージを迎える時期だからこそ、住まいの観点から新しい生き方を考えてみませんか。小さな家・二拠点生活・古民家・空き家活用など、時代に合った「住まい方」に挑戦した、50代以降の女性達を多数紹介した書籍「人気建築家と考える50代からの家」より一部を抜粋して紹介します。 【書影】人生の節目で一旦立ち止まり、理想の未来と家を考えるきっかけに…湯山重行さん著書『人気建築家と考える50代からの家』 * * * * * * * ◆平屋は二階建てに比べ建築費が高い 近頃、平屋に手が届きにくくなっているのが気になる。 そもそも同じ床面積なら、平屋は二階建てより建築費が2割ほど高くなるのだが、この物価高でさらに手が届きにくくなっている。 「平屋のほうが安いと思っていました」とおっしゃる方も多いが、基礎工事や屋根の面積でいえば、平屋は単純計算で二階建ての倍になる。土地も当然ながら平屋のほうが広い面積が必要だ。 平屋を求める主な購買層はアクティブシニアだ。住宅ローンを組むことは難しいし望まないだろう。よって基本的に手元資金を利用しての計画になる。80平方メートル前後の小さい平屋でも2000万円からと考えておくのが現実的だ。 コロナ禍前に比べると建てにくい状況ではあるものの、ワンフロアで開放的な平屋の魅力は捨てがたい。生活を豊かにするための平屋という選択肢は残しておきたい。 ところで、私が子ども時代に住んでいた家は古い平屋だったのだが、当時は二階建てに住む友だちが自分の部屋を持っていることがうらやましかった。
◆アニメ『ちびまる子ちゃん』『ドラえもん』の家 我が家はトイレ以外の扉がすべて引き戸だったので、音が漏れるわ、隙間風が入るわ、さらに開きっぱなしなことが多く、プライバシーがダダ漏れだった。 アニメ『ちびまる子ちゃん』のまる子の家と『ドラえもん』ののび太の家を思い浮かべると分かりやすい。 まる子の家も平屋で、自分の部屋(お姉ちゃんと共用だ)は開け放たれて廊下が見えている。私の家もちょうどあんな感じだった。 だから、家を新築した友人宅に招かれると、階段を上るその長い道のりや、部屋の入り口がドアであることにプライベート感があって、ワクワクした。 1960年代の新興住宅地では、サラリーマンでも住宅ローンを組んで買いやすい価格にするために、建売業者が高騰中の土地を小さく区割り、その上に木造二階建ての家を載せてパッケージ販売する手法で業績を伸ばしていた。 のび太の家はまさにこれだ。その後、バブル期になると土地が高騰して、都内の戸建てに手が届かなくなったマイホーム購入希望者が埼玉や千葉にこぞって家を買うようになった。『クレヨンしんちゃん』の家が埼玉の春日部にあるのは、そんな背景がある。
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