2025年春夏メンズコレ取材24時Vol.1 裸王「ディースクエアード」がぶっちぎり、新生「モスキーノ」と好調「セッチュウ」は明暗分かれる
2025年春夏コレクションサーキットが開幕しました。イタリア・フィレンツェからミラノ、パリまで続くメンズからスタートです。「WWDJAPAN」は現地で連日ほぼ丸一日取材をし、コレクションの情報はもちろん、現場のリアルな空気感をお伝えします。担当は、大塚千践「WWDJAPAN」副編集長とパリ在住のライター井上エリ、そして藪野淳・欧州通信員の“浪速トリオ”。愛をもって、さまざまなブランドをレビューします。 【画像】2025年春夏メンズコレ取材24時Vol.1 裸王「ディースクエアード」がぶっちぎり、新生「モスキーノ」と好調「セッチュウ」は明暗分かれる
15:00 「ドルチェ&ガッバーナ」展覧会
今季のミラノ・メンズ・ファッション・ウイークは、「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」の展覧会でスタートです。ミラノ大聖堂の南に位置する歴史的な建造物パラッツォ・レアーレ(Palacio Real)で、7月31日まで開催している同ブランド初の展覧会“From the Heart to the Hands"を観覧してきました。イタリア語でハンドメードを意味する“ファット ア マーノ(Fatto a Mano)をコンセプトに、アートから建築、バレエ、オペラまで各テーマごとに分けた10のスペースで、アルタ・モーダ(オートクチュール)とアルタ・サルトリア(メンズ向けのオートクチュール)、アルタ・ジョイエッレリア(ハイジュエリー)を展示します。結論から言うと、めちゃくちゃ見応えのある内容で、圧倒されっぱなしでした。
各スペースはテーマに沿って、アーティストや職人によるインスタレーションとともに細部に至るまで完璧に作り込んだ世界観が、来場者を別世界へといざないます。シチリアのカラフルで快活なスペースから、天使が舞う純白に包まれた幻想的な空間、お針子が作業をするアトリエなど、部屋から部屋へと移動すると、「ドルチェ&ガッバーナ」のインスピレーションの源泉が目の前に広がります。歴史的な絵画作品を総ビーズで描いたり、クロコダイルにビジューを施したり、多岐に渡る織物、刺繍にレース、フェザーに加えて、ガラス細工を装飾に用いたりと、イタリアの伝統的な職人技をこれでもか!と凝縮させた圧巻のクチュールピース。もはや、民芸品と美術品にも分類できる作品群です。展覧会は、「ドルチェ&ガッバーナ」の作品に影響を与えたイタリア文化へのオマージュであり、アルタ・モーダに命を吹き込むのに重要な役割を果たす、イタリアの職人への畏敬の念を表現したもの。駆け足で観覧しましたが、またこの展覧会のためだけに休暇でミラノに戻ってきたいとさえ思っています。時間をかけて見る価値のある、壮観な内容でした。