2025年春夏メンズコレ取材24時Vol.1 裸王「ディースクエアード」がぶっちぎり、新生「モスキーノ」と好調「セッチュウ」は明暗分かれる
着用方法だけでなく、「セッチュウ」の強みである生地にも遊び心が感じられます。シャツに用いたのは、コットンのような質感と手触りに仕上げたポリエステル素材。コットンとウールを混合させたサファリジェケットと同じく、シワになりにくいという生地の特性を最大限に引き出しています。複雑なパターンと計算し尽くして配置した付属品に、桑田悟史デザイナーらしい職人気質な一面を感じつつ、全体は落ち感のある生地のレイヤリングで春夏らしい涼しげな雰囲気。より西洋的なエレガンスが際立っていました。
日本以外での評価も売り上げも上々で、5月24日にオープンしたばかりのドーバー ストリート マーケット パリ(DOVER STREET MARKET PARIS)では、代表作の“折り紙ジャケット”が完売したそうです。桑田デザイナーがアイテムを着用しながら解説するのを、一緒に隣で聞いていたフランス人の業界関係者は、「シック!素晴らしくシックだ!なんてシックなんだ!」と、フランス人にとっての最高の褒め言葉である「シック(Chic)」を連呼してました。シック=粋で、上品で、垢抜けている。「セッチュウ」の商品を実際に見て、袖を通してみれば、シックの意味を深く理解できるはずです。
17:30 「モンブラン」
「モンブラン(MONTBLANC)」は、コレクション発表の場をパリからミラノへお引越し。会場には、イタリア・フィレンツェで制作するレザーグッズ、ドイツ・ハンブルクで生産する筆記具、そしてスイス製の時計までの新作を並べました。会場自体も広かったのですが、驚いたのはレザーグッズの豊富さです。「モンブラン」のバッグと言えばビジネス需要が高い印象だったのですが、それだけでなくカジュアルに使えそうなアイテムからトラベルバッグやスーツケースまでが勢ぞろい。色も、定番の黒に加え、今季のキーカラーとしてカシスをさまざまなアイテムに採用したり、少し色味を抑えたライムやオレンジを差し色に加えたり。2021年にマルコ・トマセッタ(Marco Tomasetta)=アーティスティック・ディレクターが就任してからのレザーグッズへの注力具合が良く分かります。