2025年春夏メンズコレ取材24時Vol.1 裸王「ディースクエアード」がぶっちぎり、新生「モスキーノ」と好調「セッチュウ」は明暗分かれる
16:00 「モスキーノ」
続いて、今季の目玉の一つであるアードリアン・アピオラッザ(Adrian Appiolaza)=クリエイティブ・ディレクター手掛ける新生「モスキーノ(MOSCHINO)」初のメンズ・コレクションです。会場は、街の中心から離れたところにある広い倉庫のような空間。中に入ると、そこにはスーツケースやクラシックなトランクが山のように積み上げられています。ヨーロッパではコロナ明けにロストバゲージが大量発生していたので、なんだかちょっとアイロニーを感じますね。そんな今季のテーマは、”ロスト&ファウンド(LOST & FOUND)”。アピオラッザは、そこに“行き先を見失うことで、全く知らなかった場所を見つけることができる”というポジティブな意味を込め、「混沌とした生活から選ばれし楽園へと向かう、発見と探求の旅」のメタファーだと語ります。
タイドアップしたシャツにトレンチコートを合わせ、手にはハート型のアタッシュケースを携えたルックで幕を開けたショーの序盤は、オフィスを想起させるスタイル。そこにはもちろん「モスキーノ」らしいツイストを効かせ、シャツにサスペンダーやジャケットのトロンプルイユプリントを施したり、目玉焼きやバナナモチーフのブローチを飾ったり、シャツの襟部分を装飾要素として用いたり、書類をシュレッダーにかけるように生地をフリンジ状に仕上げたり。1990年代初めに創業者のフランコ・モスキーノ(Franco Moschino)が提案したメイクアップ道具を収めるポケットがたくさんついた”サバイバル・ジャケット”も、オフィス仕様で再解釈しています。
アルゼンチンで生まれ育ったアピオラッザは、かつて渡英するためのお金を稼ぐために嫌いなスーツを着て保険会社で働いていたそう。スーツを脱ぎ捨て世界へ飛び出した本人同様、中盤からは都会から逃避するように旅に出るストーリーが始まります。その行き先は、イタリアの都市や牧歌的な田舎から冒険にぴったりのジャングルやサファリまでといったイメージ。サッカーボールにイタリア国旗、ピザ、海辺の風景、サル、デイジーやカーネーション、アイコンのスマイルマークまでがウエアに散りばめられています。