2025年春夏メンズコレ取材24時Vol.1 裸王「ディースクエアード」がぶっちぎり、新生「モスキーノ」と好調「セッチュウ」は明暗分かれる
ランウエイデビューを飾った2月の24-25年秋冬ウィメンズに続く今回の25年春夏メンズ、そして一緒に披露したウィメンズの25年プレ・スプリングでより明確になったのは、アピオラッザが大切にしているのは「奇抜さと商業性のバランス」だということ。ジェレミー・スコット(Jeremy Scott)時代の「モスキーノ」はショーで見るには最高に楽しいけれど、コスチューム感が強く一般的には着づらいのも事実でした。その点、アードリアンはフランコのアーカイブを研究して遊び心や楽しさを取り入れ、スタイリングでインパクトを生み出しながらも、現代人にフィットするウエアラブルなアイテムを提案しています。
「モスキーノ」がミュージシャンの衣装や展覧会に飾られる作品ではなく、街で着られる服であるために、このアプローチは堅実です。一方、表現の自由や多様な個性を描くことを掲げ、今季は多彩なアイデアやモチーフを用いましたが、ちょっと詰め込みすぎたかなと印象も否めず。この辺りのブラッシュアップは、来シーズンに期待したいところです。
17:00 「セッチュウ」
2023年に「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ(LVMH YOUNG FASHION DESIGNER PRIZE)」グランプリを獲得した「セッチュウ(SETCHU)」は、ギャラリーの無機質な空間でプレゼンテーションを行いました。今季のテーマは、“遊び心のある機能性と機能的な遊び心(Playful Functionality And The Function of Playfulness)”。その真意とは、至るところに緻密に計算して取り付けられたフックとジッパーにより、変幻自在に表情を変える点にあります。例えば、パーカの下半分をカットしたようなアイテムは、ジッパーを開ければ短いケープのようになり、90度回せばノースリーブのパーカー、さらに腰に巻いてスカートに早変わり。一見、普通のボタンダウンシャツも襟元のフックを外せば、ネックラインを折り畳んで脱構築的なシャツになり、フォーマルなジャケットはノースリーブのベルト付きジレへと変化します。