2024年もいろいろ大変だった 自動車業界ニュース振り返り(欧州編) EV低迷、関税、価格競争…
低価格車の復活
最近まで、EVの開発は大型の高級車が中心であった。メーカーは初期投資の利益を最大限に引き出し、EVの生産コストの高さを回収しようとしていたからだ。 しかし、EVへの需要が低迷し、排ガス規制が強化されるにつれ、小型で安価なEVの開発に焦点を当てる必要性が明らかになってきた。 中国の自動車メーカーはすでに、2万5000ポンド(約500万円)以下のMG 4のようなクルマを発売しており、これがMGの2023年の売上高が13億ポンド(約2600億円)に達するきっかけとなった。 もちろん、国からの補助を受けずに小型EVで利益を上げられるかどうかは、他者の判断に委ねられる。 3月、欧州の自動車ブランドが苦境に立たされている中、デ・メオ氏は攻勢に転じ、欧州の規制は「客観的に高級モデルを優遇している」と批判した。同氏は、再び手頃な価格のクルマの開発を積極的に推進することで、バランスを是正するよう当局に求めた。 政府からの反応は何もなかったが、ルノー・グループはそれでも計画を進め、航続距離220kmで必要最小限の装備を持つEV、ダチア・スプリングを、1万4995ポンド(約295万円)という驚きの低価格で発売した。 重要なのは、これが欧州で最も安いEVであることだ。中国で製造することでこの価格を実現した。20.7%の輸入関税が課せられるにもかかわらず、生産拠点を欧州に移す計画はない。 ルノーはその後、フランス製で2万2995ポンド(約450万円)からの価格設定の5を発表し、フォルクスワーゲンは2万5000ポンド以下の「ID.2」と2万ポンド(約400万円)以下の「ID.1」を準備中である。
英国で新政権誕生
英国では2024年、14年間にわたる保守党の支配に終止符が打たれ、政権交代が実現した。10月には、新財務大臣レイチェル・リーブスの秋の予算案に多くの期待が寄せられたが、肝心な質問に対する答えは、彼女の光沢のある赤いブリーフケースの中には隠されていなかった。 労働党は選挙公約の一部として、自動車とドライバーに焦点を当てた数々の公約を掲げた。2030年のICE車の新車販売禁止措置(ハイブリッド車は2035年まで許可)を復活させるなどして、メーカーが今後10年間にどのようなクルマが売れるのか見当もつかないという状況下で「確実性」を提供するというものだ。 また、自動車保険料の高騰を抑え、充電ポイントの数を増やすことでEV購入者の支援を行うこと、さらに中古EVの普及を促進するためのバッテリー健康基準を導入することも約束した。 しかし、10月の秋の予算案は期待外れの内容となり、自動車業界の主要企業によるロビー活動にもかかわらず、EVの購入奨励策は導入されなかった。 EVに対する自動車税(VED)の導入を2025年4月1日以降に延期するよう求める声もあった。その理由の1つは、EVの車両本体価格が高いため、4万ポンド(約800万円)の高級車税の適用基準に該当するモデルが不釣り合いなほど多くなるというものだ。 代わりに英国政府は、ほとんどの新型ICEの自動車税を倍増させることで、逆の平等化を図った。また、燃料税も12か月間据え置かれることとなった。