「ドライバー不足」深刻 タクシー業の倒産・廃業82件、過去最多 「人手不足」での倒産目立つ
燃料費高騰も経営に追い打ち
全国的に「タクシーがつかまらない」状況が多くみられるなかで、タクシー業の倒産が急増している。2024年に発生したタクシー業の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は35件、休廃業・解散は47件判明し、計82件のタクシー業者が市場から退場した。23年通年の件数(63件)に比べて19件・30.2%増と急増し、これまで最多だった19年(73件)を上回った。 2024年におけるタクシー業倒産35件のうち、少なくとも4割以上がドライバーなどの「人手不足」が要因となった。これまで、年間1~2件前後の発生だったが、24年は人手不足による倒産割合が突出して高い傾向にあり、深刻化するタクシードライバー不足と、それに伴う「タクシー余り=稼働率低下」が各社の経営を悩ませている。 国土交通省によると、全国のタクシー会社で働く運転手の数は、23年3月末時点で約22万人と、コロナ禍前の19年3月末に比べて約2割減少した。1割未満だった同期間における法人タクシーの保有車両数の減少率と比べても、ドライバーの減少ペースが目立った。こうした状況に加えて、燃料となるプロパンガスの価格高騰が重なり、経営をあきらめるタクシー業者が増加した要因となっている。
足元では、「夜の長距離やチケットの需要は回復した」という声がある一方、「週末などは配車依頼に応えられない」といった課題も聞かれ、慢性的なドライバー不足による旅客需要の取りこぼしをどう防ぐかが目下の課題となっている。こうしたなか、タクシー業者が運行主体となり、一般ドライバーが自家用車を用いて有償で客を運ぶ「日本版ライドシェア」の導入が各地で進んでいる。 タクシーにとって「ライバルとなる競争相手」か「共存共栄のパートナー」かの見極めが進むなかで、「安心できる移動手段」としてのタクシー運行とどう共存するかが問われている。