知らない女性への呼びかけ「奥さん・おばさん・お姉さん」どれもNG? 誰も傷つけない“最適解”は
「おばさん」だけでなく「お姉さん」も拒否される可能性
「おばさん」は、呼ぶ側が呼ばれる側を自分より年上だと見なしていること、そして呼ばれる女性自身が年齢を気にしてしまう背景もあるので、少し慎重になるべきでしょう。 「どんなに綺麗で若見えする女性に対しても『おばさん』と積極的に呼んで『おばさん』の言葉のイメージを変えていくべきという考えもあると思いますが、言葉は一度イメージや色が付いてしまうと取り除くのは難しい。『おばさん』のイメージが今と変わることは難しいので、新しく30代以上の女性を呼ぶ呼び方があれば偏見なく誰でも使える気はしています」(坂井さん) 一方の「お姉さん」呼びも、一般的に浸透している地域以外では要注意。夜の職業やナンパのイメージを持たれる可能性も。また「いや、あなたの姉じゃないし」という拒否反応が起こることも否めません。ここには、日本語特有の親族名詞を呼びかけに使う文化が影響しているそうです。
見ず知らずの人でも「お父さん」。親族名詞を社会でも使う日本語
「たとえばテレビのロケ番組でも、見ず知らずの60代くらいの男性に対して『お父さん』と呼びかけるシーンは珍しくないですよね。その男性が独身だったら、という観点は考慮されていない。でも英語はたとえば男性に関しては年齢に関係なく『sir』でいい。 日本語の呼びかけは相手が自分より年上か年下かが重要で、かつ家族構成をそのまま社会で使う言葉にも持ってきている。親族名詞の転用として呼びかけの言葉が発達してきた背景があるのは日本語の特徴です」(坂井さん) こうした呼びかけの言葉の発達経緯を見ると、日本社会が個よりも家族構成を重んじてきた考え方が反映されているのだと思わされます。
見知らぬ人に呼びかけるときの“最適解”は
坂井さんは今回の一連のポストで、30代から40代の女性を呼ぶときの最適解について「赤の他人に対して家族構成の言葉を呼ぶ行為が合わない時代になってきているので、相手が嫌がる可能性を考慮していく社会になるといい。見知らぬ人に道などを聞く際には『すみません』、『もしもし』など親族名詞以外の丁寧語を使うのが誰も傷つけないし、嫌な思いもさせない呼び方なのかなとも思います」と締めくくっていました。 既婚か独身か、子どもがいるのかいないのか、自分より年上か年下かという観点で見知らぬ人への呼び方が変わる日本語。特に女性に対しては、自分が相手からどれくらいの年齢に見えているのか、独身で子どもいないのに「奥さん」や「ママ」など世帯状況を決めつけられることなど、さまざまな「そんな呼び方やめてよ」を孕(はら)むリスクがうかがえました。 ただ「おばさん」と呼ばれることが今なおネガティブな要素を含んでいる現代では、坂井さんの言うように偏見のない新しい言葉が生まれることも、この問題においては重要なのかもしれません。 <文/エタノール純子> 【エタノール純子】 編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中
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