【少数与党で新たな日本政治を】連立ではない政策協議が生み出すもの、総選挙が可能にした政治実験を成功させよ
10月27日に投開票が行われた衆議院総選挙は、政権与党である自公が大きく過半数を割る中で、連立もしくは連携の工作が進行している。そんな中で、現時点では部分的な提携による少数与党内閣が成立する、そんな可能性も出てきた。 例えばであるが、国民民主党が首班指名の決選投票で事実上棄権に回るというのは、石破茂内閣の成立をアシストすることになる。ただ、それでは、1970年代末以降の自民党が度々やってきたような、閣僚ポストと引き換えに全政策を一致させるフルの連立政権にはならない。 このケースにおける国民民主党は、悪く言えば政権与党の責任を負わないことになるし、離反すれば少数与党である自民・公明党を行き詰まらせることができる。だとしたら、国民民主党が政策における事実上のキャスティングボードを握るわけで、責任をフルで負わない中では卑怯だという評価も可能だ。 けれども、現時点では、フルでない、パーシャルな連立あるいは連携というのが現実的になってきている。理由は2つある。
存在感を見せ続けたい国民民主
1つは、冷静に考えてみれば国民民主党にはフル連立を組めないテクニカルな理由があるからだ。どういうことかというと、今回総選挙が終わったということは、残り9カ月となった次回の参院選へ向けて政局の号砲が鳴ったことを意味するからだ。 国民民主党にとっては、この時点でフルの連立を組むというのは公党としては自殺行為になる。例えば自民党は、一気に減った党勢を補うために、いわゆる「裏金議員」とされる保守系無所属議員とは、比較的早期に統一会派を組むとしている。フルの連立を行えば、この統一会派を認めざるを得なくなる。さらにフルの連立のためには政策をほぼ完全に一致させることが必要だ。 そうなれば、大昔に新自由クラブや自由党がたどった道、つまりフル連立を組むことで与党に埋没して最後は吸収される道しか残らない。仮に議員たちがプロ集団であれば、個々の議員は与党に吸収されても各選挙区で勝ち抜いていけるであろう。けれども、国民民主党はまだ政党として若く、議員一人ひとりの経験値は少ない。そんな中で、25年7月の参院選で存在感を見せるには党の独自性を維持する必要がある。