日本は本当にダメな国なのか? 安野貴博(AIエンジニア)と田原総一朗が語り合った記録がヤバすぎる
2024年7月の東京都知事選挙で、彗星の如く現われた長髪のAIエンジニアが躍進した。テクノロジーを武器とした弁舌がYouTube動画やテレビのニュースショーで大いに話題となり、なんと15万票以上を獲得したのだ。AIのイノベーターが、なぜ泥臭い政治の世界にチャレンジしたのか。日本のAI革命は今後どこに向かうのか。前後編にわたって、田原総一朗がトコトン問う。《前後編記事の後篇です。前篇はこちらから》 【写真】再逮捕された「美人すぎる寝屋川市議」の写真集全カット
東京一極集中を是正するために
田原総一朗今の日本の一番の問題は、少子化と東京一極集中です。地方自治体はみんな人口が減って少子化と過疎に苦しんでいるのに、政治も経済も人口も東京にばかり集中して、富の偏在が起きています。どうすればいい? 安野貴博少子化対策は、今回私が東京都知事選挙で掲げたマニフェストの中で、一番重要な問題のひとつとして訴えました。東京一極集中を是正するためのアプローチは二つあります。「東京と地方の格差を減らしていこう」という方向性と「まずは東京をしっかり豊かにして、日本全国に恩恵が届くようにしよう」という二つの方向性です。 田原二つ目のアプローチは、一頃話題になった「トリクルダウン」(※「水が徐々にしたたり落ちるように、富める者の経済活動によって皆が潤う」という経済理論)ですね。 安野今日本に存在する地方間格差を縮めるのは、容易ではありません。ならば東京を世界の中で抜きん出て勝てる都市にし、続いて名古屋や大阪、札幌や福岡や仙台といった都市も強くなる。さらには地方も強くなっていく。こちらのアプローチで進んだほうがいいと私は思っています。 田原日本と対照的なのがドイツなんですよ。 安野ドイツでは都市機能があちこちに分散していますよね。 田原ドイツの地方自治体は、人口減少が緩やかなんですよ。地方自治体の政治家も役人も民間も、自分たちが暮らす町をいかに良くしようか必死です。だからドイツではベルリン一極集中が起きず、ハンブルクもミュンヘンもケルンも大発展しています。 安野日本の地方都市で、経営者の視点をもっている首長や政治家が少ないことが問題です。少し小さい東京のような都市を仙台なり名古屋に作ろうとしても、うまくいくわけがありません。 ドイツがおもしろいのは、ベルリンとフランクフルトでは産業構造がまったく異なることです。たとえばフランクフルトでは、航空業界がメチャクチャ強い都市設計がなされているんですよ。これならフランクフルトをベルリンのミニバージョンにする必要はなく、ベルリンもフランクフルトも別々のアプローチで発展していけます。