「中性的な人間でありたかったのかも」黒沢かずこが、中2で初潮を迎えて抱えた葛藤 #性のギモン
お笑いトリオ「森三中」の黒沢かずこさんは、2020年に放送された『生理CAMP2020』(テレビ東京)への出演をきっかけに、生理について自分の体験を話す機会が増えたという。中学2年生で初潮を迎えた時は、「親にも話したくなかった」「生理だとバレるのが嫌だった」と振り返る黒沢さん。当時は生理用品を手に入れることができず、ティッシュペーパーを使っていたと語る。過去の経験と、40代になった今生理について思うことを聞いた。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
「性を表に出すのが恥ずかしい」誰にも言えなかった生理
――黒沢さんは、初めて生理を迎えた時どう思いましたか。 黒沢かずこ: 中学2年生で自分が生理になった時は「生理になっちゃった。どうしよう。嫌だ」って思いました。親とは、それまで生理について話をしたことがなかったし、もう全然、未知の出来事でした。 当時、生理について誰かに聞くこともできなかったんです。保健室でも言いたくなかったし、学校の先生にも、友達にも相談したくなかった。もちろん親にも相談したくないと思っていました。 だから生理に対する手当ての方法がわからなかったんです。生理用品があることは知っていましたが、親に生理になったことを話せないから、手に入れることができないし。そのため、生理が来てからしばらくはティッシュペーパーで対応していたんです。使用済みのティッシュをトイレに流すこともできず、部屋にため込んでいました。結構大量だったので、このティッシュをトイレに流したら詰まるかもしれないし、詰まったらその血の付いたティッシュが浮き上がってきて、あの人は生理だってバレるかもしれない。それが恐怖で……。 ――生理用品を使うようになったきっかけはいつだったんですか? 黒沢かずこ: 部屋にため込んでいたティッシュが多分臭うようになったんだと思いますが、母が気づいたみたいで、ある日昼用ナプキンが自分の部屋のドアの内側に置いてありました。それを見て、「あ、お母さんにバレた」という気持ちと、「これがナプキンか」という気持ちの両方がありました。嬉しいという感覚は一切なかったですね。 初めてナプキンを使った時は、ティッシュと比べて「あ、すごい! 吸うじゃん」と思いました。ティッシュは血を吸わないから、ズボンに付いてしまったりすることもあったと思いますね。 ただ、ナプキンが手に入ったものの、誰にも使い方などを聞かなかったので、使う枚数とか量とか全然知識がなかったんです。手に入ったのは昼用のナプキンだけで、これ1枚だとすぐに吸収しきってしまう。夜用ナプキンが欲しいと親に言うことはできなかったんです。昼用を2枚重ねてみようとか、昼用の羽なしタイプのナプキンを羽のようにぐるっと巻いてみようとか、ちょっとずつ工夫して昼用ナプキンを自分の体に合わせていきました。 生理用品を自分で買うようになったのは、20歳を越えてからですね。でも、最初自分で買うことにすごく抵抗があったので、相方に買ってもらったりしていました。40歳も越えた今となってはそんなことどうでもいいと思えるようになったので、レジに若い男性がいるところでも買えるようになりました。 ――なぜそこまで周りの人に相談できなかったのでしょうか。 黒沢かずこ: 実際に初潮を迎えるまで「自分は生理にはならない」「自分は生理と無縁だ」と思っていました。自分も成長して体が変化するとは理解してなかったんですよね。 小学生の時から自分は中性的な人間でありたいと思っていたし、性があからさまになると「人間負けだ」と感じていて。性を表に出すのがすごく恥ずかしいし、大人になるのも嫌だったのだと思います。「かっちゃんも大人になったね」って周囲に思われるのがすごく嫌で、成人式に振袖も着ませんでした。「かっちゃん」は「小さいかっちゃん」のままでいたかったんです。私が大人になってしまったら、親が変わってしまうんじゃないか、年老いてしまうんじゃないかと感じていたせいだと思います。今思えば、そんな心配をする必要はなかったのかもしれませんね。