競争力の高い企業の特徴とは? 共通している「組織運営の在り方」
ビジネス書を中心に1冊10分で読める本の要約をお届けしているサービス「flier(フライヤー)」(https://www.flierinc.com/)。こちらで紹介している本の中から、特にワンランク上のビジネスパーソンを目指す方に読んでほしい一冊を、CEOの大賀康史がチョイスします。 「管理職の罰ゲーム化」が加速する日本の職場...その原因とは? 今回、紹介するのは『ミンツバーグの組織論 7つの類型と力学、そしてその先へ』(ヘンリー・ミンツバーグ著、池村千秋訳、ダイヤモンド社)。この本がビジネスパーソンにとってどう重要なのか。何を学ぶべきなのか。詳細に解説する。
組織とは何か
組織とは何でしょうか。その定義は様々です。組織は共通の目的があり、集団であるという2つを満たすものと言われています。そして、組織を生き物と見立てることが多いように、組織ほどにその最適なあり方を示すことが難しい対象はありません。 組織の発達段階を示すような考察もあるものの、トップダウンで求心力のあるベンチャー企業もありますし、素晴らしいハーモニーを奏でている大企業もあって、そのどちらが望ましい組織かと断言することはできません。環境や戦略によって最適な組織は変わりますし、組織のありように従い最適な戦略が移ろうものでもあります。 本書にはレストランの例が出てきます。ファストフード店、高級レストラン、ケータリング専門店といった様々な形態があって、そのどれが最高のレストランかを特定することはできません。組織はまさにそのようなものだと言えます。 そのような取り扱うことが難しい組織論の中でも、本書は最も体系的かつ実用的な一冊だと思います。まず、組織や人の特徴を表す3つの要素を紹介します。
アート・クラフト・サイエンス
戦略形成や組織で重要なことの多くは、アート、クラフト、サイエンスの3要素の関係で説明できる、というのは著者の有名な主張ですので、もしかしたら様々な本や記事でご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。 データや再現性を重んじるサイエンス志向、直観と観察を大切にするアート志向、経験や行動を重視するクラフト志向の3つをどのようなバランスで持っているかは、人や組織を顕著に表す特性とされています。 皆さんの組織は何を重んじているでしょうか。ポジショニング戦略を重視する組織はサイエンス傾向が強く、新しいことを野心的に実験する会社はアートとクラフト傾向が強いようではあります。ただ、そのどれが自社に最適なのかの結論を出すのは、もう少し深く考えていく必要がありそうです。次からは本書の中核にある4つの組織形態について触れていきます。