競争力の高い企業の特徴とは? 共通している「組織運営の在り方」
4つの組織形態
まずパーソナル型組織です。その中心にいる、すべての責任を持つ最高位者が絶大な影響力を持つことが特徴です。組織が小さいときや、企業再生・改革等のトップダウン時にこの形式がとられることが多いといいます。ビジョンをもった人に導かれれば活力に満ちた組織になる一方で、その人への依存度が高いという特性があります。 次はプログラム型組織で、ピラミッド型の階層と、秩序、コントロール、システムなどを重視していることが特徴となります。最低限のトレーニングで業務を実行できるように、各部署で行われる業務をできるだけシンプルで反復性の高いものに調整します。成熟した組織でこの形態をとることが多く、効率性を高められる利点と、イノベーションが難しい難点があります。 第三の形態はプロフェッショナル型組織です。病院や学校やコンサルティングファームの多くが該当します。高度なスキルを持った人たちが集まっていることが特徴で、号令がなくとも高度な調整が行われ、専門職の自律性を尊重します。一方で、管理体制の変化への抵抗が強く、数値評価することも難しいという問題があります。この種の組織は「メリトクラシー」と呼ばれる能力主義で統制されます。 そして第四の形態は、プロジェクト型組織です。テクノロジー関連の研究機関、前衛的な作品をつくる映画制作会社などの組織で見られる形です。起業家精神をもった組織内のエキスパートたちが協働し、高度なイノベーションを追求します。複雑性が高く、変化も激しいため、チームワークが重視されます。なお、曖昧な状況を好まない人には適していない、定型の業務を実行することには長けていないという問題があります。
4つの組織形態と4つの力
パーソナル型は圧倒的な個人に率いられるためアートとクラフトが強く、プログラム型は再現性を求めサイエンスが強いことは想像しやすいでしょう。プロフェッショナル型は主にサイエンスとクラフトを重視し、プロジェクト型はアート・クラフト・サイエンスをいずれも発揮する傾向があるといいます。 本書の中には、4つの組織形態で作用する「4つの力」が紹介されています。各組織形態の核心をついていることが印象的です。パーソナル型組織は「統合」、プログラム型組織は「効率」、プロフェッショナル型組織は「熟達」、プロジェクト型組織は「協働」の力が大きな役割を果たしています。 上記の整理は説明不要なほどに、きれいに組織の姿を表しているのではないでしょうか。論理的な納得感が高く、私たちが4つの組織形態を俯瞰することを促してくれます。