競争力の高い企業の特徴とは? 共通している「組織運営の在り方」
生き物と組織
本書では他にも3つの組織形態と力が紹介されていますが、主要な組織形態は今までに触れた4つと扱われているため、ここでは割愛します。上記で各組織の特徴や長所・短所について押さえてきました。 さて、ここであなたの所属する組織は4つのうちのどれだと思うでしょうか。同じ会社でも違う形態を内包していることもありますし、フェーズによって変化することもあるでしょう。つまり、どれか一つと言い切れる組織はむしろまれかもしれません。実際は、それらの形態を状況によって選ぶ、ハイブリッド型になっているのです。 このハイブリッド型においてその時々に重視する組織形態を変えていく柔軟性が、組織の力そのものだと私は思います。プログラム型からプロジェクト型の要素を強める瞬間、プロフェッショナル型から危機に際してパーソナル型に転換する瞬間などに、組織が持つ文化や人材の質が問われ、成果を大きく変えていくことになるのです。
組織の解像度
冒頭に触れたように組織は変化し続ける生き物のようなものです。そして、その組織に対する解像度を上げようとすると、究極的には個人個人に行きつき、その個人ですらコンディションによって状況が変わり続けます。 今、自分がフォーカスすべき組織の規模や状態によって、そのどこまでを観察して対処していくかのスケールを変えていくべきです。究極的には見るべき時に個人個人の状態までに解像度を上げていけるかが、組織の運営上の精度を左右します。だからこそ、優れたマネジメントにはリベラルアーツの知見を深めることや、自身の経験を振り返ることなどを通じて、人そのものや組織の動きに対する洞察力を高めていくことが求められるのです。 人はすべて、周りの人に誇れるような美しく優れたところもあれば、誰にも打ち明けたことがないような醜いところもあります。優れた組織は成果に向けて、構成する一人ひとりがもつ優れたところ持ち寄りたくなるような空気があり、それが優れた文化と呼ばれるものでもあるように思います。 あなたの組織は今どのような状態でしょうか。今の組織をより優れたものにするために、本書は体系的な知見が得られる最も頼りになるだろう一冊です。ぜひ本書に目を通していただき、卓越した組織を率いるか、サポートするか、ご自身ならではの活かし方を考えてみて下さい。
大賀康史(フライヤーCEO)