大阪のボクシングジムで新型コロナ感染者…発熱選手らが救急車手配も病院たらいまわしで「PCR検査を受けられない!」
感染が発覚した同ジムの関係者は14日にはプロボクシング関係の会議に出席、15日には他ジムへのスパーリングに同行するなどしており、そこでも濃厚接触者が出ている可能性がある。ジムの関係者が、その“出稽古”に出ていた際には、入れ替わりで、他ジムの選手が同ジムをスパーリングで訪れており、ジムに残留していた選手が、すでに保菌していた場合、ここでも二次感染が起きていることが懸念される。 また関西では8月から客入れ興行の再開が予定されており、同興行への影響も不安視されている。すでにクラスターが発生してしまっている可能性が高いが、早急に行政の対応が必要でJBCサイドも独自になんらかの対応を行う方針を固めた。 JBCと日本プロボクシング協会は3月の段階で新型コロナウイルス対策連絡協議会を設置して専門家の意見も聞きながら、これまで協議を重ね、興行再開、ジム内での練習の感染予防対策のガイドラインを作成した。マスクの着用や消毒の徹底、検温、メディカルシートの作成などを義務づけ、試合に出場する選手、レフェリーについては、3週間前と前日に抗体検査を実施し、計量後は、隔離措置を義務づけるなど徹底した感染予防対策を取ってきた。新型コロナの影響で、ジム経営が圧迫され、プロモーターサイドからは、客入れ興行を望む声が強く出ているが、JBCと日本プロボクシング協会は、ハードコンタクトスポーツであるボクシングは、感染リスクが高いことを考慮し、あえて経済活動よりも安全優先の方針で厳しい基準を設定した。 12日に愛知県刈谷市で行われた中日本新人王予選は無観客での開催とされ、試合役員はフェイスガード、防護服に身を固め、ラウンドごとにロープなどを消毒、感染予防対策を徹底して無事に興行を終えた。だが、JBCの安河内剛事務局長は、「何事もなく選手がリングを降りたことは良かったが、まだ東京都では連日100人以上の感染者が報告されるなど、感染状況はおさまっていない。再開したが、これでよかったとは、まだ言えない。今後、もっと厳しい基準を作っていかねばならないのかもしれない」と今後も予断を許さぬ状況であることを強調していた。19日には沖縄で最初の客入れ興行が再開されるが、その直前にクラスターの発生が疑われるという、最も恐れていた事態の一つがジム内で起きてしまった。
プロボクシング界では、これまで4月下旬に愛知県のジムで選手2人とトレーナー2人、この7月6日には都内のジムで選手1人に新型コロナの陽性反応が出ていたが、クラスターに発展することはなかった。プロボクシング界は慎重すぎるほど慎重に十分な感染予防対策を講じてきたが、今回、改めて、この新型コロナの脅威と、第二波の襲来を再認識させられることになった。選手の命を守るためにまずは早急な行政の対応が求められる。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)