南海電鉄「2200系」が、グリーンの復刻塗装ではるばる銚子にやって来た
内容はネタバレになるので詳しくは書けないが、銚電に走らせた「心霊電車」を舞台にしたホラー映画。突っ込みどころ満載、奇想天外なストーリーのエンタメ映画と言ってしまえばそれまでだが、銚電のドキュメンタリー的な部分もあり、コウガシノブさん演じる社長が「銚電はいつもふざけたことばかりしていると言われるけど、俺たちは真剣にふざけているんだ。目的はただ一つ、鉄道を存続させることだ。たとえ古びた傷だらけの電車でも、そこに無限の可能性を信じて前進を続けること以外、俺たちの生きる道はない」という力強いセリフに「銚電イズム」があふれていた。 「まずい棒」の企画プロデュース、「電車を止めるな!」の原作、脚本を担当した寺井広樹氏の著書「廃線寸前!銚子電鉄 〝超極貧〟赤字鉄道の底力」(2021年・交通新聞社)によると、「いざ撮った映像を見てみると、なぜかちっとも怖くない」となり、新型コロナで日本中が大騒ぎになる直前に追加の撮影をしたという。その甲斐があったか、数々の心霊現象の描写の完成度は高かった。真っ暗なお寺の部屋で1人で見るというシュールな状況も、お化けをよりリアルに感じるのに一役買ったかもしれない。
経営難からの回復を目指す銚電は昨年、開業100周年を迎えた。2021年度、22年度は2期連続で黒字を達成。新たな車両も導入して〝上り調子〟の銚子電鉄だ。鑑賞券を購入した際に「映画が終わってから見てほしい」という銚電の竹本勝紀社長のメッセージとともに渡された封筒を、帰りの「しおさい14号」の中で開けてみた。感謝と決意が綴られた社長手書きの便せん1枚と、映画の中のエピソードにも絡む新しい焼き菓子「おとうさんのぼうし」が一つ入っていた。チョコレート風味の生地にメロン味がトッピングされておいしかった。 映画の鑑賞券には、有効期限のない銚電の一日乗車券がついていた。22000形が昼間の運用に入ったら、その切符を使って君ケ浜駅の周りのキャベツ畑を入れて撮影しようと思う。それが筆者にとって8度目の銚電訪問になる。 ☆共同通信・藤戸浩一 6年前に銚電を取り上げた当コラム(「まずい棒」は銚子電鉄を救うか)で、首都圏から銚子へは「えきねっと列車限定割引 トクだ値40」を使うと特急「しおさい」の指定席が、普通運賃のみとほぼ同額で利用できると記した。今回もそれで行くつもりだったが、適用がないどころか「しおさい」を含む房総特急が「全車指定席」になっていて驚いた。自由席を基準にすると「値上げ」となるが、着席を保証するため、との狙いには納得するしかない。筆者が知らなかっただけで、既に首都圏の他の在来線特急では実施済みだった。