「頭が働いていない」と感じたら<環境>のせいかも…騒音、温度、におい。とりあえず机の上は片付いているに越したことはない
◆環境を改善することで、頭の働きをよくすることができる さらにまた、頭の働きに対するにおいの影響を調べた研究があります。 連想を働かせる課題において三つのにおいの効果を調べたところ、好ましいとされるアーモンドのにおいを嗅ぐ条件の成績が最もよく、次に水のにおい(無臭)、酢酸のにおい(不快臭とされる)の順になっていました*3。 こうした結果から、騒音、温度、湿度、においなどの物理的・化学的環境が頭の働きを左右することがわかります。物理的・化学的な環境要因が望ましいものでない時には、頭の働きが阻害されることが多いのです。 私たちの身の回りには、こうしたネガティブな環境要因が、決して少なくありません。しかし、できる限り環境を改善することで、頭の働きをよくすることができます。
◆余計なものは片づけるに越したことはなさそう なお、環境には、ここまで述べてきたような、外部からもたらされる環境に加えて、自分で作り出すものもあります。たとえば、机の上の環境です。 机の上が散らかっていると、作業効率は悪くなります。認知的な作業ではありませんが、作業効率を調べた次のような実験があります。 テーブルの上や周辺に雑多なものが置いてある条件(散らかっている)と、必要なもののみが置いてある条件(すっきり片づいている)とで、「(1)クリームと砂糖を入れたコーヒー、(2)クリームだけを入れたコーヒー、をそれぞれ一杯ずつ作る」という作業の中で生じるよどみを調べました。 作業の中で生じるよどみとは、途中で作業をまちがえそうになり、慌てて軌道修正するといったことを指しています。二つの条件を比べた結果、雑多なものが置いてある散らかったテーブルで作業を行った条件で、作業のよどみが多く発生していました*4 。 このことから、やはり作業環境は、すっきりと片づけておいた方がよいことがわかります。頭を使う作業についても、同様のことが言えるでしょうから、余計なものは片づけるに越したことはなさそうです。