ヨッピーさん「育児ハック」インタビュー 「子どもが社会的“野生味”を身につけてくれれば」
子どもの世話は1人ずつ。家事・育児の分担事情
――働き方も変わりましたか? かなり変わりました。一番は夜の時間をあてにしなくなったこと。ライターという仕事柄、締め切り日の翌朝までに仕上げればいいと思って徹夜しがちだったんですが、今、仕事は基本夕方5時までですね。子どもが帰ってきたら、子どもが寝るまで仕事はもうできないです。 僕はサウナが好きなので、溜まった仕事をどうしても集中して仕上げたいときは、子どもを保育園に送ったあと朝9時くらいから夜までコワーキングスペースがあるサウナ施設にこもって遅くまで仕事をします。そういう日は妻が夜3時間くらいワンオペになっちゃいますけど協力してくれます。 妻が遊びに行くときは逆に僕がワンオペします。先日も妻が好きなアーティストのライブに申し込んで「チケット二日分当たっちゃった!」って言って2日間出かけていましたね。 ――息抜きしながら、夫婦間で育児をうまく分担できているんですね。 本にも書いたんですが、「つらいのは1人でいい」「2人で睡眠不足になるより、1人のほうがまだマシじゃん」というのが根本的な考え方です。2人でずっと子どもの世話をするより1人ずつの方が効率がいいし、大変なことを2人同時にやらなくてもいい。 子どもが生まれたてのときって、お風呂に入れるのも2人がかりでやっちゃうんですよね。 最初はいいんですよ。そういう時間は楽しいので。でも慣れてきたら、わざわざ2人でやる必要は全くない。 2人でわちゃわちゃお風呂場にいるぐらいだったら、その時間に1人はコーヒーを飲みながらゆっくり休んでいる方がいい。 本を読んでくれた友人からは、「そういう考え方を夫婦間で共有するのに役に立った」と言われましたね。そういうマインドを最初に持ってないと、「私だけ大変!」とか「僕だけ大変!」とか思っちゃうんで。大変なことは同時じゃなくて順番にこなしてれば良いんじゃないかなって。
意識的にパパがワンオペの時間をつくる理由
――SNS等では「分担したいけど、夫1人に任せられない」という声をよく見かけます。 お互いが子育ての初期から関わっていないとなかなか難しいと思います。だからこそ「男性は借金してでも育休とってほしい」と本に書きました。 育休も取れない、リモートワークも出来ない、時短勤務も不可、というどうしようもない場合、例えば職人さんなど日給制の現場仕事をやっている人なんかではザラだと思いますし、「仕事を休むと生活が立ち行かない」というケースもあるかと思います。でも、その場合は「借金してでも育休を取ったほうが良い」という事を提唱させていただきます。いやほんとに。1カ月休む事で30万の手取りが減るのであれば、30万借金してでも休んだほうが良いです。それくらい、新生児の育児は大変ですし、なんと言っても貴重な時間でもあります。 『パパもママも必読!子育てがラクになるノウハウを集めた育児ハック』(KADOKAWA) 車の運転と同じで、運転していないとペーパードライバーみたいな状態になっちゃうんです。育児も同じで、普段あまり育児に関われないパパこそ、意識してワンオペの時間を作った方がいい。 ――共働きで家事育児をしていると、どうしても余裕がなく自分の方が負担が大きいと感じてしまって、夫婦間がギスギスすることも。 「自分が損してて当たり前」くらいに思っていた方がいいのかもしれないです。 うちは僕の方が体力があるし、睡眠時間ももともと短い。そういう意味では僕の方がリソースがたくさんあるから、その分僕が大変なことを引き受けるのは当然という考え方でやっています。 一方で妻は子ども服とか見るのがめちゃくちゃ好きだけど、僕はそういうのまったく無頓着なので子どもの服の買い出しはだいたい妻。宅食を注文するのも妻ですね。僕、細かいことは苦手で……。 体力の多い少ないじゃなくて自由時間の多い少ないで考えるパターンもありますし、どちらが稼ぐかで役割分担を考えるパターンもあるので、夫婦それぞれのバランスを探るといいと思います。 ――企業に勤める共働き夫婦で、片方がほぼワンオペ状態で疲弊している人の話もよく聞きます。とりわけ、夫の長時間労働の影響で、家事育児の負担が女性に偏っている傾向があります。この問題はどう解決したらいいのでしょう。 難しいんですけど……長時間労働、リモートNG、育休NGのような働きにくい会社は辞めて転職するしかない。 こういう時代で変わっていけない企業は淘汰されていくしかないんじゃないでしょうか。まあまあ人手不足の時代で、どこの企業も人材確保に悩み始めているので、融通の利かない会社からどんどん人が流出していったら、企業側も改めざるを得なくなると思うんです。 会社を辞めるのが現実的じゃなければ、親の近くに引っ越すというのも選択肢になるんだろうなと思います。もちろん、両親が元気で子どもを見てくれる場合に限りますけど。 「サザエさん」の家は子育て、絶対楽ですよね。大人が4人もいるし。義父母や親のいる環境をストレスに感じる人もいると思うんですが、子育てを夫婦2人だけでやっていくのは、かなり無理があると思うんです。 友達を巻き込むのもいいですね。先日、僕がワンオペだった日は、友達に来てもらって僕の子どもふたり連れて一緒に回転寿司に行ったんですけど、大人が2人いるとだいぶ楽だなと思いました。 ――「子どもにいろんな人を会わせる」と本には書かれていましたね。 僕は子どもが生まれる前からそういう考えだったんです。みんなでどこかに遊びに行くときも、家族持ちの友人には「子ども連れておいでよ」と常に言ってました。独身の頃からそうやって友人の子どもの面倒を見ていたから、自分に子どもができてからも違和感なく連れて行けます。 そういうのはあくまで個人的なことですけど、やっぱり夫婦以外のリソースを社会で補って、 社会全体で子どもを育てるような機運がもっと強くなるといいなと思います。 本では自治体のファミリーサポートなどを紹介していますが、学童が足りていないけど、夏休みどうするの? とか、まだまだ課題が多いと思います。