「今いくつ?」師走の街に集う少年少女たち…大阪・グリ下で一斉補導もトラブル後絶たず
年末年始に合わせ、若者が大阪・道頓堀にあるグリコ看板下の遊歩道「グリ下」に集まり、犯罪に巻き込まれるのを防ごうと、大阪府警が一斉補導を実施した。グリ下周辺では、少年少女らによる飲酒や喫煙、薬物利用のほか、出入りする家出少女が買春被害に遭うケースが多発。防犯カメラの設置やNPOによる居場所提供といった対策は取られているが、道半ばの状況だ。若者が安全に過ごせる街へ、地域ぐるみでの模索が続く。 【地図でみる】未成年たちのたまり場となっている「グリ下」 飲食店の明かりや広告看板の光で昼間のような明るさのグリ下界隈。厳しい寒さでも人通りは多く、インバウンド(訪日外国人客)でにぎわう。 今月20日午後10時から21日午前5時まで、府警少年課や南署の捜査員ら計約50人態勢で行われた一斉補導。大阪府青少年健全育成条例では、午後11時以降の未成年者の外出を制限しており、捜査員は5、6人のグループに分かれ、深夜徘徊(はいかい)している若者に声をかけて帰宅を促した。 「ちょっとごめんな。大阪府警少年課です」「君ら若く見えてさ。今いくつ?」 午後11時前、5人ほどの若者がグリ下に集い、談笑し始めた。未成年と思われる若者の姿もあるため、捜査員5人が近づき、話しかける。1対1で会話しながら、年齢や名前、住所などを聞き取っていく。 「18歳。高校3年生」。ある少女が答えたが、視線を合わせようとしない。捜査員が身分証の提示を求めても「持っていない」。だが、説得を続けると、しぶしぶ学生証を取り出した。16歳。カバンの中からはたばこの箱も見つかった。1日10本ぐらい吸うという少女を補導。保護者にも電話をかけ、駅まで送った。 グリ下に集う少年少女の中には、家族や学校で居場所がなく、つながりを求めて集まるという子も。同課によると、21日早朝までに中学生を含む計14人の未成年の男女を深夜徘徊や喫煙、飲酒で補導した。 府警はこうした一斉補導をコロナ禍で飲食店が軒並み時短営業や休業となった令和3年から、主に学校の冬休みや夏休み前に実施。3年の補導者数は15人だったが、4年は25人▽5年は96人▽今年は59人-となった。ここ数年の傾向について同課の市村竜一調査官は、最近はインバウンドの出入りも多く、若者が寄りつかないと分析。それでも「犯罪行為がなくなったわけではない。夜間の見回りは継続する」と話す。 ハード面での安全対策も進む。府警は地元の協力を得て昨年3月からグリ下の遊歩道に防犯カメラ2台を設置。「設置前と比べ、たばこや薬物利用など犯罪行為に走る若者が減っており、抑止にはつながっている」(市村調査官)という。