更年期の女性のための「骨粗しょう症」にならない生活習慣とは?
骨粗しょう症を予防するための食事内容は?
編集部: 骨の健康のために必要な栄養素は何ですか? 安部さん: 骨に必要な栄養素はカルシウムです。カルシウムは体内への吸収率が低いため、効率よく吸収して骨に定着するよう毎日続けて摂取しましょう。ただし、食事で耐容上限量を超えることは少ないですが、サプリメントによる過剰摂取は腎臓結石や心疾患のリスクが増大する可能性があると示されています。 参考: 厚生労働省,e-ヘルスネット「骨粗鬆症の予防のための食生活」 編集部: カルシウムと聞くと牛乳が思いつきますが、苦手なのでほかの食材で補いたいです。なにかおすすめはありますか? 安部さん: カルシウムの吸収率が優れている牛乳が選択肢としておすすめですが、乳糖不耐症で飲むと下痢をする人もいるので無理をして飲む必要はありません。ヨーグルトやチーズなどの乳製品は手軽で食べやすく、小魚や海藻などもおすすめです。また、避けるべき栄養素もあり、インスタント食品やスナック菓子に含まれるリンはカルシウムの吸収を阻害するため注意しましょう。骨吸収を促進するビタミンDやカルシウムの骨への沈着を助けるビタミンKも一緒に摂取すると効果的です。 編集部: ビタミンは健康に良さそうです。どんな食材に含まれますか? 安部さん: ビタミンDは、魚やきのこに多く含まれます。脂溶性で尿として排泄されにくいため、サプリメントによる過剰摂取には注意が必要です。ビタミンDの過剰摂取は食欲不振や便秘、心臓や腎臓に影響する可能性が指摘されています。また、ビタミンKが多く含まれている食品は緑黄色野菜、納豆などです。血液を固める作用があるので、血液凝固阻止剤のワルファリンを内服している患者さんは納豆を食べると体に影響します。健康にいいからといって食べ過ぎず、持病のある方は主治医に相談してください。 編集部: 毎日の食事も病気の予防につながるのですね。 安部さん: はい。また、骨の質を高めるコラーゲンの材料となるたんぱく質、カルシウムの量を調整するマグネシウムなども大切な栄養素です。大豆製品に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンに似た働きをするといわれています。ぜひ、日々の食事に取り入れてみてください。