地震保険だけでは全壊時の住宅再建は不可能! 地震被害に100%備える「上乗せ特約」「費用保険金」とは?
地震での被害に備える保険、それが「地震保険」です。ところが、地震保険はそもそも「生活再建のための保険」なので、住宅が全壊したとしても新たに再建するだけの保険金は受け取れません。では、地震への被害に100%備えることはできないのでしょうか?(ファイナンシャルプランナー・平野雅章) 2024年、火災保険料の値上げ幅が最も高いと予想される都道府県は? 目次地震保険の加入率は、全国でたったの35%そもそも地震保険とは?その特徴と問題点100%補償を可能にする「地震危険等上乗せ特約」地震保険や上乗せ補償特約は必要?地震による火災に備えるなら「地震火災費用保険金」少額短期保険の加入も検討しよう
地震保険の加入率は、全国でたったの35%
「令和6年能登半島地震(以下、能登半島地震)」は、あらためて地震への備えの必要性を私たちに感じさせました。 地震被害への備えとして、まず挙げられるのは地震保険ですが、実際のところ加入している人はあまり多くありません。全世帯に対してどの程度の世帯が地震保険を契約しているかを示す「世帯加入率」は、いまだに35%に過ぎません。 地震保険 世帯加入率(全国)(引用:損害保険料算出機構)
そもそも地震保険とは? その特徴と問題点
火災保険では、損害を受けた建物や家財を、新たに再建・再購入するのに必要な金額が、保険金として支払われます。一方、地震保険というのは、損害を受けても、それを再建・再購入するために支払われるものではありません。 この違いは、火災保険と地震保険とでは、そもそもの意義が違っていることによるものです。 地震保険は、政府と民間損保会社による「半公的な保険」 地震保険は政府と民間損害保険会社が共同して運営する、なかば公的な保険です。そのため、地域や構造、保険金額などの加入条件が同じであれば、どの保険会社で加入しても保険料は変わりません。 補償の対象は住宅と家財で、地震の揺れによる損害だけでなく、地震や噴火を原因とする津波や火災による被害も補償してくれます。 なお、地震保険料率は、「収支の償う範囲内において、できる限り低いものでなければならない(=利潤を含まない)」と法律で定められています。一般的に地震保険料は高いと思われがちですが、実は、民間の損保会社にとって地震保険はもうけを出すための商品とは言えません。 地震保険の問題点 地震保険は単独では加入できず、火災保険に付帯する方式で契約しますが、問題点としては、地震保険の保険金額(保険金の上限)は、建物と家財それぞれに火災保険の保険金額の30~50%の範囲内でしか設定できないことです。 火災保険の保険金額は通常、再調達価額(保険の対象の住宅や家財と同等のものを再築または再購入するのに必要な金額)で設定します。 地震保険ではその金額の50%までしか加入できないということは、地震によって自宅が全壊した場合、地震保険の保険金だけでは再築ができないのです。 そのため、「入っても意味がないのでは」「保険料の割には補償が薄い」といった印象を持つ人も少なくなく、地震保険の世帯加入率の低さの原因の一つになっていると考えられます。