初期費用だけで800万円…わずか2ヶ月で倒産したカレー屋が「失敗するのは当然だった」ワケ
---------- 本業だけに集中したほうがよいのか、それとも本業とは異なる事業にチャレンジしてみるか……。経営者や個人事業主が、頭を悩ませる選択だろう。どちらを選べばよいのか、著書に『会社をつぶさない社長の選択』がある税理士の松岡靖浩氏がアドバイスを贈る。 ---------- 【写真】飲食店経営に手を出したら、その先には「地獄」が待っている
建設業の社長がカレー店を始めた結果……
よくある話なのですが、中小企業も大企業も、ある程度小金持ちになってくると本業とは異なる事業を始めるケースが非常に多いです。 実は以前、わずか2カ月で倒産したカレー屋の顧問をしたことがあります。 原価率65%という、飲食店経営者ならびっくりするような高原価のカレーを作っていた店なのですが、もともとこのオーナーは建設業の経営者なのです。そちらがいい形で成功したこともあり、お金が少し余ってきたということで、友達とカレー屋をやろうとなったそうです。 そして、どうせならうまいカレー屋を作ろうとなり、原価率を気にせず商品を作った結果、2カ月で撤退するカレー屋を開業することになりました。 話を聞くと、初期費用に800万円を何も考えずにポンと出したとのこと。本業がうまくいっていたからなのでしょう、金銭感覚が完全に麻痺していたとしか考えられません。 しかも、「うまいカレー屋ができるなら利益もトントンでいい」というスタンスで始めたそう。これでは失敗するのも当然だと言えます。
本業に関連する事業に再投資したほうがいい
利益トントンでいい、それは言い換えると利益はゼロでいいということですから、そもそも商売をする気がなかったわけです。 飲食店を経営している方ならわかると思いますが、それほど広くないお店の場合、ビジネスモデルというのは「高単価で高利益率」が基本です。それをまったく把握せずに、本業ではなく片手間の副業としていきなり飲食業界に参入しても、成功するはずはありません。 このオーナーは、本業がある程度うまくいっていたということもあり、800万円を失っても笑い話で済みましたが、やはり小金持ちになると、本業とはまったく関係のないことにお金を使いたくなってしまうのだなと思いました。 「せめてトントンだったらいいね」というビジネスがうまくいくことはないというのは肝に銘じたほうがいいです。 もし、本業がうまくいってお金が余っているのであれば、そのお金は本業または本業に関連する事業に再投資していくことをおすすめします。