晴れの舞台の裏側に驚く! オリンピックを題材にした映画5選!
ミュンヘン大会で起きた悲劇『ミュンヘン』
“平和の祭典”であるオリンピック。その長い歴史の中でも、最悪の事態が起こったのが、1972年のミュンヘン大会だった。8月26日にオリンピックが開幕し、その10日後の9月5日、パレスチナの過激派組織のメンバー8人が、選手村のイスラエル宿舎に侵入。選手2人を殺害し、9人を人質に立てこもった。犯行グループはイスラエルに囚われたパレスチナ人テロリストの解放を要求。犯人たちは人質とともにミュンヘン空港へ向かうも、そこでの警察との銃撃戦で人質が全員死亡するという最悪の結末を迎えた。事件が起こった後も一部で競技が続けられるなど、オリンピック側も大混乱。世界中がその行方を見守ったこの事件を、スティーヴン・スピルバーグが映画化した。 実際に事件の犠牲者となったイスラエルのレスリングコーチ役を、彼の実の息子が演じるなどリアリティを重視。スピルバーグらしく、アクション場面の生々しさ、迫力はハイレベルだ。この作品はさらに、オリンピックの事件の後、イスラエル側の組織“モサド(諜報特務庁)”によるパレスチナへの報復もたっぷり描いている。ユダヤ人のスピルバーグが、本作ではイスラエル、パレスチナの両方をかなり客観的に見つめた印象。オリンピックが惨劇の場となる悲劇はかなりショッキングだし、今もまったく解決の糸口が見えないパレスチナとイスラエルの問題に、改めて胸が痛む……。
波乱に富んだ人生に驚愕!『Untold: ケイトリン・ジェンナーの金メダル』
オリンピックに関しては劇映画だけでなく、多くの傑作ドキュメンタリーも生まれている。その中でも強烈なインパクトを残すのが、この作品。一人の金メダリストの人生を描いているが、アスリートとしてだけではなく、自分のアイデンティティーと闘ってきた姿に最後まで驚かされる。陸上の“走る”、“跳ぶ”、“投げる”をすべて行うことで“キング・オブ・アスリート”と呼ばれる十種競技。1976年、モントリオールオリンピックで同種目の金メダルに輝いたのが、アメリカ代表のブルース・ジェンナーだった。しかし現在、ブルースはケイトリンと改名。女性としてカリフォルニア州知事を目指すなど政治家としても活躍している。 子供時代から自身のジェンダーに違和感を抱いていたブルースは、アメリカンフットボールから陸上競技に転向し、類まれな能力を開花させる。「金メダルを取れたら、自分の心の問題なんて存在しないという証明になる」と信じ、モントリオールオリンピックで死闘ともいえる2日間の競技を制するまでのプロセスは劇的。競技生活に加え、3度もの結婚・離婚、トランスジェンダーとして生きる決意など、あまりにも波乱に富んだ人生に目を疑うばかり。近年、オリンピックで問題になっているトランスジェンダーについてもいろいろ考えさせる意味で、“旬”な作品なのは間違いない。