不始末だらけの「アマゾン宅配」、それでも配達員に「ミスを伝えない」謎すぎる方針
今やアマゾンは日本社会において欠くことのできない企業の一社であり、その社会的責任は極めて大きい。しかし、企業のエゴを突き通そうとすると、「物流の2024年問題」を筆頭とする物流クライシスを加速させ、日本社会をさらに疲弊させかねないと懸念する。事実、都市部にあるタワーマンションでは、配達に多大な手間と時間がかかるため、タワマン地獄として問題視されている。政府が「物流革新」政策に本腰を入れて推し進める中、アマゾンは善良なる仲間なのか、それとも日本社会に害を及ぼす存在なのか。今、その真価が問われている。 【詳細な図や写真】【関連記事】再配達で「年2億時間&1,000億円」がムダに…? それでも“タダ”が続くおかしな理由(ここをクリックすると関連記事ページに移動します)
宅配の「不始末」はなぜ起こる?
筆者が2024年に入ってから出演したニュース・情報番組には、視聴者から、宅配に対するさまざまな不満が寄せられていた。置き配を指定していないのに、勝手に置き配されてしまう件。在宅していたのに、勝手に不在扱いにされて、不在票だけが残されている件──。 先日、友人からもこんな話を聞いた。Amazonで商品を購入した際、本人の承諾なく購入商品が置き配されていたのだが、驚くのはその場所。友人が住むマンションのオートロック前に置き配されていたのだ。 常識的に考えれば、これは置き配ではなく、単なる放置である。ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の宅配大手3社のドライバーであれば、ミスと言うのもおこがましいこういった不始末はほとんど起こさないだろう。 なぜ、このようなことが発生してしまうのか? 根本的な原因は、アマゾンの自前物流にある。宅配大手3社のうち、アマゾンはヤマト運輸、佐川急便からはすでに見限られており、今やアマゾンの配送を担うのは、日本郵便だけである。こういった背景もあり、アマゾンは自前物流網を強化している。 アマゾンにおける自前物流の主流を成すのは以下の3つである。 ・Amazon Flex アマゾンから業務委託を受けた貨物軽自動車運送事業者(軽バン配達員)が配達を行う。その大半は個人事業主と推測される。 ・Amazonデリバリープロバイダ アマゾンから業務委託を受けた運送会社が配送を行う。実配送は運送会社社員が行うこともあれば、さらに個人事業主の軽バン配達員が下請けとして実配送を担うケースもある。 ・Amazon Hub デリバリーパートナープログラム 街の飲食店や事務所で働いている人が、空き時間を利用して配送業務を行う。 先述の不始末の多くは、大手宅配3社のドライバーではなく、個人事業主の軽バン配達員、アマゾンで言えば、Amazon Flex、あるいはAmazonデリバリープロバイダの下請けとして働く軽バン配達員が、起こしているものと思われる。 では、問題は個人事業主の軽バン配達員にあるのだろうか。