「燃費を“もえぴ”と誤読」「コピーすらできない」…。菜々緒が「アホなコンサル」演じる脱力系コメディドラマ『無能の鷹』の侮れない“意外な深さ”
オフィスコメディドラマ「無能の鷹」(テレビ朝日)が、秋ドラマでひときわ個性を放っている。脱力感たっぷりのユーモアに笑えるのはもちろん、それだけではない。コミカルな展開の中にも、会社組織やビジネス特有の悲喜こもごもが詰まっていて、働く人に刺さる深みがあるのだ。 【画像8枚】あなたの会社にもいる? パッと見「優秀」でも実際は「無能」な社員 本作が描き出す、意外にも納得の仕事論を見ていきたい。 ■“丸の内バリキャリ”風の社内ニート、爆誕 物語の舞台は、東京・丸の内にオフィスを構えるITコンサルティング会社である。主人公の鷹野ツメ子(菜々緒)は、白いスーツを凛と着こなし、いかにも仕事がデキそうな風貌だが、その実態はコピーすらまともにできない“無能”の新卒社員である。
鷹野はまず、IT業界にいながら「IT」の意味を知らない。書類に書いてある漢字が読めず「燃費って“もえぴ”?」と聞いてくるし、仕事中でもかまわずペン回しに没頭する。同僚たちはそんな鷹野の「シンプルにアホすぎる」行動に頭を抱えるが、当の本人は叱られても気に留めず、つねに堂々とした態度だ。 【画像8枚】あなたの会社にもいる? パッと見「優秀」でも実際は「無能」な社員、鷹野ツメ子はこんな感じ 彼女がITコンサルを志望した理由は「丸の内のオフィス街をパリッとした服でカツカツ歩いて、受付で社員証をピッて」したかったからである。鷹野が放つ“バリキャリ”オーラは、きらきらしたお仕事ドラマへの憧れから来ているのだった。
入社3カ月で社内ニートと化し、部内で満場一致の「無能」と認識された鷹野だが、とある展開からその持ち味が仕事でプラスにはたらく瞬間が訪れる。 ■誰でも「有能」にも「無能」にもなりうる そのきっかけを作ったのは、鷹野と同期で営業部の鶸田道人(塩野瑛久)である。彼はこの物語のもう一人の主人公で、鷹野とは対照的に上がり症で気弱な性格。コンサルとしては分析力・提案内容ともに申し分ない実力を持っていながら、その弱々しい振る舞いが影響して契約を勝ち取れずにいる、残念な若手だ。